デジタルトランスフォーメーションへの道

ミツウロコグループ、IoT活用でLPガス配送業務効率化へ(上)

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 LPガスの検針と容器配送の業務効率化は関連性が高い。検針員が消費者宅を指針の読み取りで訪問するのは基本的に月1回であるが、この検針結果はLPガス販売事業者が、LPガス容器の交換時期を決める際にも利用する(容器交換時も検針を行うがこれは2カ月に1回程度である)。

 LPガス業界ではすでに、検針データからガス容器を交換するタイミングを予測するITシステムをグループの販売事業者に提供していたが、こうした検針頻度では予測精度に課題があった。直近の使用実績に加えて、前年同時期のガス使用実績などをもとにガス容器の交換時期を見積もるのだが、消費者が旅行によって長期間不在になる、家族構成に変化があるといったことがあると精度が低下する。

 無線通信などを活用して日次できめ細かく遠隔的に検針をすれば、予測精度は飛躍的に高まる。予測精度が高まれば、バックアップのガス容器を用意する必要もなくなり、2本まとめて容器を交換できるようになる。これによって、容器の配送頻度は約半分になると見込まれた。

低コストで通信できる広域無線技術と出会う

 しかし当時の遠隔的な検針ソリューションは主にガス漏れ検知など保安目的で導入するものでいくつかの点で要件に合わなかった。ガスメーターにPHSや携帯電話などの広域無線通信機器を取り付けるのだが、通信コスト、電池寿命、電源確保などで課題があったという。

 永沼氏と高橋氏の2人は、よりコスト効率が高いソリューションを模索するなか、別件で取引があったNECの担当者に、この課題に対応できる技術やソリューションの提案を求めた。すると、NECの担当者は課題に対応できる技術やソリューションがあるとして話に乗ってきたという。「NECと話をしてから急速に取り組みが本格化しました」と高橋氏は語る。

 NECが提案したのは、低コスト・省電力で広域通信ができるLPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)と呼ぶIoT向け通信技術を利用するソリューションだった。具体的には、LPWAの一つであるシグフォックス(Sigfox)を使う。あらゆるモノをネットにつなぐIoT向けの通信規格で、少ないデータを専用機器から一方通行で送信する用途を基本的に想定しており、日本では京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)が国内通信網の整備を進めている。

 ミツウロコCSがNECおよびKCCSと共同で、検針・配送業務の効率化ソリューションを開発するプロジェクトをスタートしたのは、2017年春のことである。「コストが試算段階で、現状の人手による検針にかかるコストを下回ることがスタートの決め手になりました」と永沼氏は語る。シグフォックスという最新の技術を適用することで、日次の検針から、容器の配送業務効率化までを一気に実現する道が開けてきたのである。

 このプロジェクトの目的は「業務効率の向上」と明確だった。LPガスの需要は安定しているが、収益を確保していくには販売事業者の業務についても視野を広げ、生産性を持続的に向上することが欠かせない。プロジェクトは大きく分けて、三つのサービスを開発することにした。

つづく

(ライター 岩元直久)

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、AI、IoT、ICT

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