長島聡の「和ノベーションで行こう!」

東芝はプラットフォーマーとして生き残る 第24回 東芝 島田太郎・コーポレートデジタル事業責任者

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客と敵にならずに連携していく

長島 その話を聞いていると、サイバー空間の戦いに巻き込まれていく感じがします。

島田 私はそうじゃないと思うのです。具体的なソリューションで勝負するのでなく、完全にプラットフォーマーとして、横につなぐためのコントローラーという立場で戦うべきだと思います。プラットフォーマーになる時に大切なのは、お客様と敵にならないことです。デイリー・アクティブ・ユーザーのデータを手がける際に、ソリューションの領域まで手を出してしまうとプラットフォーマーになれません。

 シーメンスの幹部がUGSという会社の買収を決めた時のインタビューで、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)をどう思うか質問をされた時、「我々は誰が勝っても関係ない。なぜなら、誰もがいずれはモノをつくらないといけない。その時に、シーメンスを使わなければならないからだ」と言っていました。完全なプラットフォーマー・シンキングです。東芝のようなインフラストラクャーを作ることができる会社はそこで価値を出せばいい、と思いました。プラットフォーマーの世界も、技術の進展で新しいレイヤーが次々に生まれてきます。そのレイヤーをうまく切り取って領域をつなげるような作業ができるかできないかの勝負になります。だから日本の将来はきわめて明るいと考えていますよ。

長島 そうは言っても、ドイツの製造業で強いところはこれからも活躍すると思いますが、どういう戦い方をすればいいと思いますか。

島田 これまでドイツの標準化のメソドロジーを日本に持ち込んでも、なかなか定着しない例が多かったのです。ドイツの工場を見せてすごいね、というけど、日本に帰ってきて現場の人を説得してそうできるかというと、なかなかそうはならない。日本は基本的に人をつくるということに注力してきたので、現場の人を無視して標準化を押しつけるのは難しいのです。

 ただし、ドイツが今回やろうとしている標準化は、どんどん細かくモジュール化して、日本で言う「すり合わせ」と同じになってきています。現場でモジュールの組み合わせ・組み替えを自由にできるようになれば、受け入れられるはずです。実はそういうものを東芝は持っています。ifLink(イフリンク)というサービスで、様々な電子機器の機能をカードで表現し、それらを並べてスマートフォンで撮影することでプログラムされ、エッジで動かすことができるものです。例えばドアを開けたらライトがつく、お湯が沸騰したら音声で知らせてくれる、などです。異なるメーカー間や異機種間でもできれば非常に面白いです。家電だけでなく、車との連携ができればいいなと思います。工場での改善活動にも使えるはずです。

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