ビジネス教養としてのグルメ

世界のリーダーが愛飲する「泡」の名品 「シャンパン大全」から(3)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 世界のリーダーに一番親しまれているシャンパンは、恐らく「ポール・ロジェ」だろう。1849年の創設で、経営哲学が「気品と優美」と格調が高い。歴代の米大統領の就任披露パーティーに提供されるシャンパンだ。英王室御用達としても、チャールズ皇太子とダイアナ妃、ウィリアム王子とキャサリン夫人の結婚式にサーブされた。「シャンパン大全」(日本経済新聞出版社)を著した山本博・弁護士に聞いた。(写真はクープ型シャンパングラスの原型。仏マリー・アントワネット妃をイメージしたとも伝わる)

英首相チャーチルが愛したシャンパン

 山本氏は「第2次世界大戦のチャーチル英首相(1874~1965)が愛飲して、ポール・ロジェの名声を不動のものにした」と語る。不屈の信念で独ヒトラーを打倒したチャーチルに憧れるリーダーは現在でも多い。「世界のCEOが選んだ尊敬するリーダー像」のランキングで1位だったこともある(2位はスティーブ・ジョブズ)。チャーチルにあやかって、ひいきにしていたシャンパンを飲もうという人々は絶えない。

 チャーチルは、爽やかでジューシーな香りのロジェにほれ込み、自分のお気に入りの競走馬に「ポール・ロジェ」という名前を付けてしまうほど耽溺(たんでき)した。「最初に勧めたのは創業者の孫の夫人にあたるオデット・ポール・ロジェ未亡人だったと伝わっている」と山本氏。

 チャーチルは、最強の酒豪政治家だった。朝にウイスキーソーダ1杯、昼にロジェのボトル、夕食までにもう1本を飲み、夜にはポートワインかブランデーなどを欠かさなかったという。日本で酒豪として有名だったのは池田勇人総理(「ウィンストン・チャーチル/新潮文庫)1899~1965)。作家の城山三郎は「官僚たちの夏」(同文庫)で、モデルの「池内」総理にビールに始まり、日本酒、ウイスキー、ブランデーで終わる「酒のフルコース」を飲ませている。しかし朝から、というわけにはいかなかった。

 チャーチルは2019年の今日ならば、アルコール依存症と診断されるかもしれない。首相はおろか、国会議員に当選することも難しいだろう。有名なチャーチルびいきのボリス・ジョンソン英前外相さえも自著で「飲み過ぎ」としている。それでもリーダー層からの人気は抜群だ。英国内はもとより、ケネディー米大統領はチャーター機を飛ばして引退後のチャーチルをホワイトハウスに招こうとし、ブッシュ(子)大統領はチャーチルの胸像を飾っていたという。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。