営業デジタル改革

営業を「人」で考えることが思考停止招く トライツコンサルティング 代表取締役 角川 淳

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 ウェブなどデジタルツールの普及によって顧客の購買活動が大きく変わってきました。顧客は営業担当に相談する前に、まずはウェブで検索して情報を得ようとします。BtoCの世界においては、アマゾンを代表とする完全にデジタル化された営業手法が台頭していますが、その流れはBtoBの世界にも確実に広がってきました。この連載では主に「BtoB市場における顧客の変化と営業現場の課題」について5回にわたり解説します。最終回では、最も大きな問題である、営業という仕事を「人」を軸に考えてしまうことについて説明します。

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古典的販売キャンペーンがなくならない理由

 さらに本質的な問題について考えてみましょう。あなたの会社の営業におけるマネジメントの軸は何でしょうか。たとえば、営業において作成しているマネジメント帳票は、何を軸に作られているでしょう。

 一般的には「営業組織別」「営業担当者別」になっているはずです。そして組織を比較し、営業担当者を比較する。責任の所在を明確にし、結果を出していくためには当然のことと考えていると思います。

 この背景には「営業活動とは営業担当者がそれぞれ考えて活動するのが大前提」という発想があるはずです。そして、それができているか、結果を出せているかをチェックし、できていない担当者をサポートする。もちろんこれはこれで間違った考え方ではありません。しかし、顧客は営業担当者から提供された情報だけでなく、ウェブサイトから得た情報も含めてトータルに判断しているのが現状ですから、組織別、営業担当者別に比較していては見えない問題があります。

 読者の中には、海釣りを趣味にしている方もいると思います。たとえば海をいくつかのエリアに分け、自分で船を出して釣りをするとしたら、結果はその釣り人の責任だと考えることができます。釣り人ごとに比較すればいろいろな問題が見えてくるし、適切な対策も考えられるでしょう。これまでの営業マネジメントの考え方もこれと基本的に同じです。

 それに対して、仲間全員で一緒の釣り船に乗り、釣りをしたらどうでしょうか。仲間との成果を比較することで、誰がうまいか、どの道具がいいか、誰のその日の釣り運が良かったかははっきりするはずです。

 しかし、これらを比較するだけでは、そもそもの前提として釣り船が行ったポイントに魚が少なかった、といった問題は見えてきません。前回の釣りと比較しても、天候が悪かったとか、気温がどうとか、いくらでも理由付けができてしまいます。

 今の営業マネジメントもこの状態に陥っているのです。営業担当者という釣り人の比較をするだけで、仮に全体的な数字が下がってきていても、活動量が足りないとか、景気が悪いから仕方ないというような理由にしてしまうのです。

 また、いくら魚が少ないといっても、釣り竿の数を2倍に増やし、たくさん釣り糸を垂らせば、多少は釣れる魚の数が増えることもあります。これも営業と同じで、「とにかく何か提案しろ!」などとトップから指示されると、多少は数字が上がります。

 いつまでも古典的な販売キャンペーンのような施策が繰り返されるのは、このようなことからなのです。

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