営業デジタル改革

営業デジタル改革を妨げる「3つのS」 トライツコンサルティング 代表取締役 角川 淳

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 ウェブなどデジタルツールの普及によって顧客の購買活動が大きく変わってきました。顧客は営業担当に相談する前に、まずはウェブで検索して情報を得ようとします。BtoCの世界においては、アマゾンを代表とする完全にデジタル化された営業手法が台頭していますが、その流れはBtoBの世界にも確実に広がってきました。この連載では主に「BtoB市場における顧客の変化と営業現場の課題」について5回にわたり解説します。第4回では、営業デジタル改革を妨げている「3つのS(=組織、システム、習慣)」を扱います。

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顧客軸に沿っていない縦割り組織

 第3回までで述べてきたように顧客が変化しているわけですから、それに合わせて営業活動やマネジメントを変え、新しいデジタルツールを活用して営業活動の生産性を向上させていかなければなりません。しかし、実際にそれを推進しようとすると、社内の大きな壁が立ちはだかることになります。これまでもそれらについては少し解説してきましたが、改めて整理してみましょう。

 現在、新たな営業デジタル改革を妨げているのは、3つのS=組織、システム、習慣です。

 まず組織についてですが、ある程度の大きさの営業組織になると、営業企画部とか営業推進部などというような営業支援組織があると思います。実態としては「企画」といっても、幹部向けの報告資料を作ることしかしていないというように名称と仕事内容が乖離していて、「名は体を表す」とはなっていない組織は少なくありません。

 しかし、営業現場を何らかの形で支援するという役割を担うべき組織は存在すると思います。

 また、マーケティングの機能を担う組織もあるはずです。マーケティングという名称ではなくとも、販売促進活動を行っている組織はあると思います。ウェブサイトのメンテナンスは広報部門でしょうか。会社案内を作る延長線上で、今もウェブサイトは広報部門が担当しているという会社は少なくないでしょう。どちらにしても、それで日々の仕事が回っているはずです。

 しかし、今の顧客の購買プロセスに合わせた営業のやり方を設計しようとすると、どうでしょうか。ウェブサイトと営業の連携を誰が考えるのでしょうか。そもそも先導役は誰が担うのか、はっきりわかりません。

 MA(マーケティング・オートメーション)システムはマーケティングとセールス活動を連携させるものですが、既存の組織の壁がせっかくの機能連携の妨げになってしまいます。そうして複数の組織で話し合った結果、どちらかの組織が使える機能だけをとりあえず使うなどという、中途半端な妥協をしてしまいがちです。デジタル技術が顧客軸に沿って営業活動全体での生産性向上を実現させようとしているのに、従来型の機能で縦割りされたアナログな組織がそれを止めてしまうのです。

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