営業デジタル改革

「商談のプロセス管理」がもう意味を持たないワケ トライツコンサルティング 代表取締役 角川 淳

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 ウェブなどデジタルツールの普及によって顧客の購買活動が大きく変わってきました。顧客は営業担当に相談する前に、まずはウェブで検索して情報を得ようとします。BtoCの世界においては、アマゾンを代表とする完全にデジタル化された営業手法が台頭していますが、その流れはBtoBの世界にも確実に広がってきました。この連載では主に「BtoB市場における顧客の変化と営業現場の課題」について5回にわたり解説します。第3回では、営業におけるプロセスマネジメントの変化について解説します。

◇  ◇  ◇

営業プロセス管理が意味を持たなくなった理由

 営業現場にPCが導入されたころから、売上や利益といった結果数字だけをマネジメントするのではなく、そこに至るまでに何をやったかというプロセスをマネジメントせよと言われてきました。

 確かに以前は、「顧客を訪問し、カタログを使ってただ商品を紹介し、買ってくださいとお願いをするだけでなく、しっかりと顧客の要望をヒアリングし、提案を行うように営業活動を変革したい!」という声が多くありました。そのために「ヒアリング」や「提案」といった「行為」をきちんと行っているかどうかをマネジメントすることは有効であり、実際にそうやって成果を上げることができた時代があったのです。

 しかし、最近のBtoB営業においては、顧客の課題をヒアリングし、それに合わせて何らかの提案を行うのは当たり前のことになっています。その結果、わざわざその行為を「行っているか」という視点で商談の進捗度合いを測ろうとするマネジメントは大きな意味を持たなくなってきています。それよりもこれから着目すべきなのは「顧客の購買プロセス」です。

 BtoBではありませんが、「営業プロセス」と「顧客の購買プロセス」のわかりやすい例として、夫婦が車を買い替えるケースを題材にして考えてみましょう。

 夫は今乗っている車が古くなってきたと感じており、最近発売された車の中に気に入ったものがあったので買い替えたいと思っています。そこで何度もディーラーへと通い、実際に展示されている車を見たり、カタログを見せてもらったり、さらには試乗までさせてもらったので、ますます買いたい気持ちが高まってきています。参考までにと思ってディーラーの営業担当者に見積を出してもらったところ、キャンペーン期間中ということもあってかなり思い切った金額を提示してもらうことができました。

 しかし、残念ながらこの家では夫の独断では決められません。最終的に車を買い替えるかどうかは、妻の同意=決裁が必要です。そのため、夫はさりげなくリビングに新車のカタログを置いてみたり、ドライブのときに「この車も随分乗ったねぇ」と話してみたりと、妻の機嫌を探りながら、どうにか買い替える方向になるように地道な努力を重ねています。さて、あなたはこの商談の進捗をどう見るでしょうか。

 多くの方が「決裁者である妻に会えていないし、その妻が買い替えるつもりがないから進捗しているとは言えない」と判断すると思います。しかし単純に「営業プロセス」で見てしまうと、「試乗」「見積」まで進んでいることになるので、商談はかなり後半まで進んでいて後は顧客の判断待ちということになってしまいます。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。