プロ野球 平成名勝負

大谷翔平が最強打線を制圧した125球

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 大谷翔平選手(米エンゼルス)が、13日(日本時間14日)にもキャンプインするという。ヒジの手術からのリハビリを慎重に進め、今年は野手として出場し、マウンドに立つのは2020年からになる予定だ。最高レベルのストレートを武器に持つ大谷投手には、打たせて取ろう、という姿勢がないのが特徴だ。それを最もよく表したのが、2年半前の日本での対西武戦だ。「プロ野球 平成名勝負」(日本経済新聞出版社)の著者、篠山正幸編集委員に聞いた。

「被弾をゼロに近づけるにはバットに当てさせない」

 2016年9月28日、日本ハムがリーグ優勝マジック1で迎えた対西武戦。先発の大谷投手は強力打線を相手に、バットに当てることすら許さないといったピッチングを展開した。初回を無難に立ち上がると、二回は4番のエルネスト・メヒア選手を159キロの速球で空振り三振。森友哉選手も158キロで三振。中村剛也選手は投ゴロだった。一発のある西武打線に満足にスイングさせたら危ない。篠山編集委員は「被弾の確率を限りなくゼロに近づけるにはバットに当てさせないこと……そんな思惑を感じさせる投球だった」と振り返る。

 その理屈は野球の素人にも分かるが、それこそ言うは易く、行うは難し。特に最高レベルで争うプロの世界では無理に思える。それを大谷投手は実現しようとしていた。「力で抑え込むといっても、真っすぐを過信せず、最新の注意を払い、用心に用心を重ねていった」と篠山編集委員。中村選手の第2打席はボールになる変化球を織り交ぜながら最後は159キロの速球で三振。第3打席は追い込んでから137キロの高速スライダーで空振りさせ、中村選手本来のスイングを完璧に封じた。

 力と力の勝負がプロ野球の醍醐味とするならば、日本最速の大谷投手と西武打線の2016年の対決こそ最高の顔合わせだっただろう。160キロの速球に中村選手らがフルスイングで挑む、三振か長打かという死闘だ。

 あるいは大谷選手ほど身をもって西武打線の破壊力を知っている投手もいないかも知れない。この年の5月15日には、大谷投手はその時点で自己最速タイムとなる162キロを計測しながら敗戦投手に甘んじた。メヒア選手に161キロの速球を右翼フェンス直撃の適時打、中村選手には141キロのフォークをバックスクリーン左への決勝3ランとされていた。

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