営業デジタル改革

デジタル時代の営業力とは?「営業からの紹介」はたった16% トライツコンサルティング 代表取締役 角川 淳

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 一方、顧客の側はどうでしょうか。

質問 購買の意思決定を行う際に、何を参考にして適切な商品・サービスを決めますか

●同僚や著名な専門家からの推薦 22%

●展示会やウェブでのセミナー 21%

●営業からの紹介 16%

●オンライン上のユーザー評価 14%

●eメールで受け取ったコンテンツ 13%

●ウェブ広告 13%

 さまざまな情報源を用いて購買の意思決定をしていることがわかりますが、6つある選択肢のうち営業担当者が関与しているものは「営業からの紹介」だけで、たった16%しかありません。残り84%の情報源は、営業担当者が直接的に関与したものではないのです。

 この2つのデータから、米国のBtoB市場では「営業担当者は顧客の意思決定に影響力を持っていると思っている」が、「顧客の購買担当者は営業以外からの情報を主として購買の意思決定をしている」という、大きな認識のズレがあることが見て取れます。これと同じことが確実に日本市場でも起こってきているのです。

購買の意思決定プロセスが複雑に

 このような話をすると「われわれの扱っている商品は特殊でウェブでは伝わらない」などとおっしゃる方もいます。確かに扱っている商品・サービスの種類によってはウェブサイトでは伝わりにくいものもあるでしょう。ただ、そこで「ウェブ活用に向かない」「ウェブに力を入れる必要はない」と決めつけるのではなく、「だから工夫することに価値がある」と考え、競合他社との差別化をはかるべきです。この流れはもう止められるものではありません。

 そして、顧客の購買プロセスの変化としてもう一つ、購買の意思決定に至るまでのプロセスが面倒になっていることがあります。これはリーマン・ショック以降の経費削減の流れから顕著になってきたのですが、購買のルールが複雑になったり、より上席者の判断が必要になったりしたことが、大きな原因です。したがって、顧客がルーチンワークで購入しているもの以外の何かを買ってもらおうとすると、その面倒なプロセスを前に進めるための支援が不可欠になっているのです。

 また、どれだけ支援しても、社内を動かせない人を軸にしていては、進むものも進みません。キーパーソンをしっかり見極めることも、今まで以上に重要になっているのです。

角川淳 著 『営業デジタル改革』(日本経済新聞出版社、2019年)、「第2章 顧客の変化についていけない営業現場」から
角川 淳(つのかわ・あつし)
トライツコンサルティング株式会社 代表取締役。京都工芸繊維大学工芸学部電子工学科を卒業後、専門商社、コンサルティング会社を経て、2012年トライツコンサルティング株式会社を設立。25年以上にわたり、B2Bマーケティング&セールス分野のコンサルティングに携わっている。現状を否定して大掛かりなスクラップ&ビルドを促すのでなく、既存の良い部分を活かし、時代の変化に合わせて「もっと楽しく」「もっとわかりやすく」「もっと顧客のために」なるように営業活動をリフォームするというスタイルが基本。それぞれの事業に合った営業のコンセプト策定から、しくみづくり、必要な組織化やシステム化、次世代リーダーの育成支援などに取り組むことで、事業の継続的な発展を支援している。また、自らプログラミングを行い、現場に合ったシステム構築までを行う。著書に『予算達成!法人営業7つのツール』(日本経済新聞出版社)など。

キーワード:経営層、管理職、プレーヤー、経営・企画、営業、経営、マーケティング、イノベーション、AI、IoT、ICT

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