日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

医療衛生から食品衛生へ 多角化するサラヤのソーシャルビジネス サラヤ取締役・コミュニケーション本部本部長・代島裕世氏に聞く

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ウガンダで成果を出して、次はケニアの漁業支援、そしてタンザニアが射程に入ってきました。2050年にアフリカ全体の人口が20億人になったとき、東アフリカのビクトリア湖の周囲には一大経済圏が形成されるのではないでしょうか。すでにEast African Communityが形成され関税同盟が発動しています。とにかく、東アフリカはビジネスの可能性が大きいのです。

それを見越して、サラヤは2018年、アフリカ開発室を設置しました。東アフリカから一段上、アフリカ全体を俯瞰して活動していきます。アフリカは東西南北で経済状況がまったく異なりますが、いずれ東西南北を結びたいと構想しています。

ただ、今は東アフリカの次ということで、北アフリカにビジネスの種をまいています。エジプト、チュニジアに現地法人を設立。エジプトでは乾燥に強く、実から採れるオイルは肌の弾力や保湿のもととなる成分が含まれるホホバという樹木の品種改良に取り組み、砂漠緑化事業につなげます。2018年4月には、ホホバを砂漠で安定生産し、オイルなどを商品化する大阪大学発のベンチャー企業が設立され、サラヤはそこにも出資しました。

――ソーシャルビジネスの始まりは、「ヤシノミ洗剤の原料であるパーム油・パーム核油の生産地、ボルネオで環境破壊?」という事件でした。

2004年、テレビ番組がその問題を告発し、サラヤはその矢面に立たされたことがきっかけです。しかし、それによって問題を深く理解し、解決への行動を起こしました。以来、率先してボルネオ環境保全活動に取り組み、サラヤのソーシャルビジネスの原点と言えるものになりました。

この成果が認められたのでしょうか。2018年10月に世界自然保護基金(WWF)ジャパンから、「Sustainable Palm oil Best Practice Award スマトラサイ賞」を受賞しました。受賞理由は「持続可能なパーム油の調達に先進的な取り組みをした」ことで、これまでの継続的な取り組みが無駄ではなかったという思いです。

支援活動や社会貢献活動にとってコミュニケーション戦略は重要です。私はコミュニケーション本部で本部長の任にありますが、活動の成果を最大限引き出すためじっくりと戦略の立案に努めています。例えば、ボルネオの環境破壊問題を突きつけられ、更家社長にテレビ出演の依頼がきたとき、私は「出演すべき」と進言しました。逃げも隠れもせず。堂々と問題に立ち向かう姿勢を示すべきだと思ったのです。結果は、「サラヤは環境破壊に加担している」という厳しいバッシング。ただ、その後ボルネオで生息地を奪われたゾウの救済と保護に努める活動を続けたところ、後に同じテレビ番組がその様子を「パート2」と題して報じてくれたのです。今度はご理解とご支援を得ることができました。最初のバッシングがなかったら、最終的にここまでの理解は得られなかったと思います。

昨年11月に都内でオープンしたカロリーゼロの自然派甘味料「ラカントS」のアンテナショップ、カフェ&ダイニング 「神宮前 らかん・果」も、SDGsコミュニケーション活動の一環です。羅漢果(ラカンカ) は、中国の桂林に自生するウリ科の果実で、漢方薬の原料として長い歴史があります。近年は、スーパーフードとして欧米を中心に注目を集めています。サラヤでは、砂糖の300倍もの甘さのある甘味成分「高純度 羅漢果エキス」の独自抽出技術を確立し、糖質制限されている糖尿病患者さんから一般のダイエットユーザーまで広く使っていただいています。そのラカントSの原料の羅漢果を、実際に食べてもらい、感じてもらい、遠い桂林の自社工場と契約農園までサプライチェーンがつながっていることを理解してもらうという場がこのカフェなのです。

以上のように2018年はサラヤの節目となるような大きなトピックスが相次ぎました。今年は、それらの継続、継承、発展に努めます。そのためには人材教育も重要です。支援活用や貢献活動は本当にやりがいがあるので、つい気負って、自分でなければできないと思いがちですが、自分がいなくても活動が継続されるようにならなければ、サステイナブルとはとは言えないでしょう。SDGsの17番目は「パートナーシップで目標を達成しよう」ですが、まさに仲間を増やすことが一番必要なのです。

(聞き手は中野栄子)

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