日本の「中国人」社会

近くて遠い・遠くて近い存在、中国人はどこへ向かう? ジャーナリスト 中島恵

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近くて遠い、遠くて近い存在は、どこへ向かうのか

 私が中国人の個人に焦点を絞って取材を開始したのは2009年ごろからだ。最初は雑誌の取材で留学生から話を聞いた。その後、中国各地へと取材範囲を広げていった。

 取材対象のほとんどは信頼できる友人、知人からの紹介だ。日本に住む中国人から中国の家族や友人を紹介してもらうこともあれば、中国で取材相手から「日本に友人がいるので紹介しましょう」といった話につながっていった。

 中国人は実にワールドワイドでフレキシブルである。そうした人々のおかげで、私自身も少しだけ、自分の世界を広げることができたように思う。私は日本人だが、信頼できる人と付き合っていくうちに、自分なりのコミュニティを作っていけたような気がしている。

 日本で出会い、中国に帰国した後も付き合い、定期的に会うことを楽しみにしている人もいるし、中国で出会い、取材したときは大学2年生だったが、アメリカに留学し、アメリカの大学の助教授になった人もいる。

 日本人のように移動のたびに律儀に挨拶する人は少ないので、ときに音信不通になりもするが、突然思い出して再び気軽に連絡をくれる中国人は多い。日本人は会わなかった間の不義理を詫びたり、一定の距離を保つことでお互いを尊重したりするところがあるが、中国人はまるで昨日会ったかのような気安さと人懐っこさで、再び濃い付き合いを始める。

 日本人と中国人とでは、やはり距離感や時間の感覚も異なる、とつくづく感じる。

 一衣帯水といわれるだけあって、中国と日本の物理的な距離は近い。飛行機に乗ればわずか3~4時間で行けるため、今では週末ごとに日本にやってくる中国人もいる。

 SNSの発達のおかげで、中国人が接する日本の情報量は10年前には考えられないほど増えた。

 2018年のサッカーワールドカップで日本代表が躍進すると、中国人は自国が出場したかのように熱狂し、声援を送り、日本代表の強さの秘密を分析した。それはサッカー先進国の欧米の国々に対しての見方とは異なり、「技術とチームワークで東洋人でもこんなに力を発揮できる」という、親戚に対するような親しみを持った接し方だった。

 夏の全国高等学校野球選手権大会で、秋田県代表の金足農業高校が快進撃を続けたニュースも中国では大きな話題となり「まるでアニメの世界そのまま。感動した」と絶賛された。

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