プロ野球 平成名勝負

「大谷翔平」を部下にした時のトリセツ

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 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(24)が、日本滞在を終えロサンゼルスに戻った。大リーグ2年目となる今後の活躍も気になるが、組織の中で動くビジネスパーソンとしては、これまで大谷選手をどう指導し育ててきたのかも知りたいところだ。「大谷クラス」の逸材を、自分の部下に迎えた時のトリセツ(取扱説明書)は何か。野球界を約30年間取材してきた「プロ野球 平成名勝負」(日本経済新聞出版社)の著者、篠山正幸編集委員に聞いた。

花巻東高時代の「マンダラシート」

 ――日本経済新聞運動部の野球担当として、大谷選手を高校時代から注目していましたね。本書でも平成の名勝負として「大谷vs西武打線」を取り上げています。投打の「二刀流」として活躍し、昨季のア・リーグ新人王に輝いた本人の天分もさることながら、その素質を周囲はどう伸ばしてきたのでしょうか。

 プロ野球界では「天才に指導者は不要」とよく言われます(笑)。実際、大谷選手ほど運動能力の優れた選手ならば、個々の技術指導はそれほど必要なかったでしょう。注目すべきは、天分を素直に伸ばす環境を周囲が整備してきたことです。

 ――大谷選手の母校は岩手県の花巻東高校です。

 私立のスポーツ強豪校ですが、選手の個性を大事にする教育方針が優れています。先輩の菊池雄星投手(西武→米マリナーズ)ら、その時々の選手に合った指導をしてきています。しかも野球漬けにして、野球だけしか分からない選手にはせず、広い視野を持つ選手を育てている印象を受けます。同校の佐々木洋監督は、選手に読書を勧めるなど人格形成を意識していたようです。

 ――かつては目が悪くなるという理由で、野球選手は本を読むことを避ける風潮もありました。

 菊池投手は大変な読書家で、弊紙の「読書日記」で連載したことがあるほどです。大谷選手も社会的教養の基本を高校時代に身に付けたでしょう。「なりたい自分」へ向けて具体的な目標を設定する「マンダラシート」を作ったのも、花巻東高の時です。

 ――「マンダラシート」は3×3のマス目の中央に最終目標を、回りに目標実現に必要な8項目を書き込みます。さらに、その8項目にそれぞれ必要な課題を8項目づつ挙げ合計9×9のマトリックスを完成させるものです。大谷は目標を「プロ8球団からドラフト1位指名」として、必要な項目に体づくり、コントロール、キレ、メンタル、スピード、人間性、運、変化球を挙げていました。

 「人間性」に関しては、大谷は非常に気配りのできる青年です。昨年末に各種のスポーツ大賞に選ばれた時も、ある受賞者が遅れて到着した時に、サッと場所を空けたりして、関係スタッフらを感心させていました。高校卒業の時も「大リーグに行く」とマンダラシートを作ったから、現在があるのでしょう。

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