ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

「稲盛イズム」のエッセンスを知る3冊 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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  松下氏の言葉に、ほとんどの人は失望しましましたが、稲盛氏は大きな衝撃を受けたと言います。まず「ダムを造る。そう心が呼ばなければ、やり方も見えてこない。だからまず、強く願望することが重要なのである」と。

 ――稲盛氏の実体験に裏打ちされていることが説得力をより高めています。

  本書では「よくに1つのことを飽きずに黙々と努め、積み重ねていく継続の力。この力が、平凡な人材を非凡に変える」「人生でも経営でも、シンプルな「『原理原則=哲学』を確立する必要がある。迷い、悩んだ時に原理原則を持っているかどうかで、人生の様相は全く異なったものなる」――などと語っています。

  稲盛氏の、生きることへの意義は明解です。「心を磨き、生まれた時よりも少しでも美しい心で死ぬ。それが、心を高めるということであり、我々の生きる目的である」としています。

「人生の王道 ~西郷南洲の教えに学ぶ~ 」(日経BP社)

 ――鹿児島県出身の稲盛氏が、郷土の英雄・西郷隆盛に傾倒してきたことは有名ですね。

 

 西郷隆盛が好んだ言葉「敬天愛人」を京セラの社是とし、経営の指針としてきました。本書では西郷の教えをまとめた「南洲翁遺訓」全41条を独自の解釈で読み解いたものです。現代の世相を正すには、人の心を見つめ直す以外に道はないと語る稲盛氏が「人生の王道を歩むための道しるべとして著した1冊としています。

 ――「南洲翁遺訓」は西郷の死後、戊辰戦争時の寛大な処置に感動した旧庄内藩士らがまとめたものですね。

  稲盛氏は遺訓の第1条「廟堂(びょうどう)に立ちて大政(たいせい)を為すは天道を行うものなれば、些(ち)とも私を挟みては済まぬもの也」を取り上げて「組織の長を務める者にとって、まさに羅針盤となるものである」と断言します。

  トップに立つ人間には、いささかの私心も許されない。その私心が露わになった時、組織はダメになると言います。無私の姿勢を貫き通すことは、一見非情だと思われるかもしれないが、人の上に立ち、集団を統率していくには、何としても身につけなければならないリーダーの条件だと強調しています。

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