ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

「稲盛イズム」のエッセンスを知る3冊 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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 現在に至るまで、国際的に大きな関心を寄せ続けられている日本人経営者の1人が、京セラ創業者の稲盛和夫氏だ。今月21日で87歳。その著書は中国でベストセラーになっているばかりでなく、約二十カ国で翻訳されているという。独自の経営哲学「稲盛イズム」をより知るための3冊を紹介する。

■「生き方 ~人間として一番大切なこと ~」(サンマーク出版)

 ――京セラ、KDDIの設立し、日本航空を再建した稲盛氏は「アメーバ経営」「稲盛和夫の実学」「高収益企業のつくり方」(いずれも日本経済新聞出版社)などの著作があります。

  まず紹介するのは、ベストセラーかつロングセラーの「生き方」です。本書では、人間の生き方というものを根幹から見据え、思うところを語り尽くしています。稲盛氏ならではの視点、経験に基づく、味わい深い人生論です。

  先行きの見えない今日の閉塞感は、多くの人が生きる意味や価値を見出せないからである。こういう時代に最も必要なのは、「人間は何のために生きるのか」という根本的な問いであると、稲盛氏は冒頭で指摘します。

  世の中のことは思うようにならない――そんなふうに見限ってしまうのは「思う通りにならないのが人生だ」と考えているから、その通りの結果を呼び寄せているだけのことであると、稲盛氏は言います。さらに、心が呼ばない、求めないものが自分に近づいてくるはずがない。まず思わなければ、叶うはずのことも叶わない――と。

 ――パナソニックの創業者、松下幸之助氏の講演を聴いた時のエピソードは示唆に富みますね。

  松下氏は講演で「ダム式経営」の話をされていました。景気の良い時こそ景気の悪い時に備えて蓄えをしておく、そういう余裕のある経営をすべきだ――と。会場の1人が「現実にはそれができない。どうしたらそれができるのか、その方法を教えてくれないことには話にならない」と不満をぶつけると、松下さんはポツリと「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムを造ろうと思わんとあきまへんなあ」とつぶやいたそうです。

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