日本の「中国人」社会

中国人が約4割、インターナショナル・スクールのような横浜の公立小 ジャーナリスト 中島恵

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インターナショナル・スクールのような公立小学校

 私は東北地方や福建省出身者が多いといわれるもうひとつの街、横浜市南区も訪れた。ここにある横浜市立南吉田小学校の家庭科室に足を踏み入れてみると、二人の中国人女性が餃子を作りながら高い声を上げていた。

「出身は(遼寧省の)瀋陽なのよ」

「えっ、ほんと? 私も瀋陽ですよ。○○○のあたり」

「私も同じ! まさか、こんなところで同郷の人に会えるとは思わなかったわ。感激。あとで連絡先を教えてくださいね」

 2018年7月中旬。保護者が中心となって行う餃子パーティーの準備中、1グループ7~8人に分かれて、約2000個の餃子の皮に餡(ここでは挽き肉、野菜といった具)を包んでいたときのことである。私が女性に出身地を尋ねたところ、その答えに、同じグループの女性が驚いて、こっちを振り向いたのだ。二人は初対面で、子どもの学年も違う。たまたま一緒に餃子づくりをしていた。

 遠い異国の地で、同郷の人がいたら確かに驚くだろう。しかし、この学校なら「それもあり得る」と思わせられる。

 南吉田小学校は日本で最も中国人が多い学校のひとつだからだ。

 この学校は、JR横浜駅から地下鉄に乗って6駅目、阪東橋という小さな駅の近くにある。周辺には伊勢佐木長者町や関内などの繁華街、横浜橋商店街というローカルな商店街がある。観光地に近いが、観光客がたまたま通りかかるような一角ではない。

 2018年6月現在、全校児童数は740人だが、中国人は307人で全体の約4割を占める。中国以外の国・地域出身者(18カ国・地域)も含めると、外国人児童は半数を超える。

 10年ほど前から、他校同様、同校の日本人児童は減少し続けているが、それと反比例するように外国人、とくに中国人の児童は増えており、「1年間に約1クラス分、30人くらい増えています」(藤本哲夫校長)。

 これまでに放送室やパソコン室を改装して教室に充ててきたが、それでも間に合わず、19年春からプレハブ教室を増設する。藤本校長によれば、市内に約300の公立小学校があるが、人口が増えているのは南区だけだそうだ。

 廊下には日本語のほか、さまざまな言語でお知らせや児童の作品などが貼られていて、まるでインターナショナル・スクールを彷彿とさせる。

 同校はごく普通の公立小学校だが、11年に藤本校長が就任して以降、さまざまな取り組みを行ってきた。たとえば、児童の出身国の料理を給食で提供する「MY(ミナミ・ヨシダ)ワールドランチ」を年に数回実施したり、通訳ボランティアなどを活用して学年ごとに国際教室を充実させたりしている。

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