愛されシニアを目指すスキルアップ道場

シニアの頑張りは若手の迷惑?「古い」と言われないための対策 トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 定年前まで部長として活躍して60歳から再雇用された方にお会いしたとき、こういうことも聞いた。「再雇用期間に入ってからは行動も発言も静かになった。会社も世代交代をすべきだと思うし、ボクが口を出すと若い人も育たない。思うところはたくさんあるけど、あえて言わないようにしている」。そういう身の処し方もあるのだなと当時はその潔さに感銘を受けた。

 しかし、これはもう10年程前の話である。人が100歳まで生きることが前提になり、法律によって希望者全員の65歳までの雇用が義務化され、会社としてもシニア人材の活用がなければ人手不足に立ち向かえないようになっている今、当時のこの方と同じような感覚を持つことがよいかどうかは疑問だ。

 報道によると、意欲があれば70歳ぐらいまで働けるようにしたいと国も考えている。そういう時代において、60歳前後から、あるいは早ければ50代から「一線を退きました」「若い人に迷惑をかけないように目立たぬようにしています」「可もなく不可もなく過ごします」と遠慮がちに仕事をすることが、厳しい競争環境にさらされている会社・組織にとっても、そのなかにいる後輩たちにとっても果たして良いことなのかは考えてみる必要がある。

シニアが前向きに働くこと自体が問題にされているわけではない

 「張り切ると迷惑では?」と考えてしまうもう一つの理由は、若い人が実際に迷惑しているシニアの仕事ぶりを見たり聞いたりしたことがあるからではないだろうか。

 こんな話を聴いたことがある。

 ある若手が成績不振を打開するために、ベテランの営業担当者からアドバイスを受けたのだが、それが「もう少しお客様と仲良くなったほうがいいんじゃないの?飲みに行ったりしてる?」というものだったというのである。

 このベテランはお客様と酒席をともにすることで関係を作り、営業成績を上げたという自負があるらしい。だから、若手にも「お客様と仲良くなるために飲みにいくのが一番」といったことを主張したわけだが、若手は素直に受け入れることができなかった。

 「今時、お客様側にもコンプライアンス上のルールがあるから、お客様を接待するなんてあまりないんですよね」。その若手はそう思いつつも、ベテランのアドバイスへ適当に相槌を打ちながら、「言っていることが昭和ですよね」と心の中で苦笑いしたそうだ。

 ところで、若い人は、シニアが張り切って仕事をしたら、いつも「やりづらい」「迷惑だ」と思うものだろうか?上記のケースから分かるように、若手が「やりづらい」「迷惑だ」と感じるのは、「若手がやろうとしていることに昔の例を出して反対する」「そもそも言っていることが古い、やり方が時代に合わない」といったことが原因であって、シニアが前向きに張り切って働くこと自体が問題にされているわけではないように思う。

 でも、もし、「知識や感覚が古い」「いつの経験に基づいて話しているのか?」という部分が課題なのであれば、私たちシニアは、自分の価値観やものの見方・考え方を見直すことで対応できるはずだ。「今って、そういう考え方しないの?」「今の常識ってどの辺にラインがあるの?」などと周囲に聞いてみればよい。それも同年代にではなく、若い人たちにだ。

 そうやって自分の中で、Unlearn(アンラーン、学んだことをいったん捨てる)したり、Relearn(リラーン、学び直す)したりすることがシニアに求められている。そのためにも、同年代とだけつるんでいてはいけないのだ。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。