日本の「中国人」社会

「不法滞在者ばかり」は昔、増える高度人材の中国人 ジャーナリスト 中島恵

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どの街で、どのように暮らし、何を考えているのか

 中国は2010年にGDPで日本を追い越し、18年には日本の約3倍の規模にまで到達しようとしている。本国ではITを活用したビジネスやキャッシュレス化が進み、街並みも人も急速に洗練されてきている。多くの日本人がイメージしている中国像との乖離はますます進んでいる。

 本国の猛烈な勢いを追い風にして、日本に住む中国人一人ひとりの存在感も増している。

 在日中国系企業が多く加盟する「日本中華総商会」の会員企業を見ても、貿易、製造、IT、サービス業まで業種の幅が広がっており、日本の経済界とのつながりも太くなってきている。

 在日中国人の"変化"が大きくなってきたのは、私の認識では「爆買い」が始まった2014年ごろからであり、中国の躍進とピタリと連動している。中国社会が大きく変わるとき、在日中国人社会も変わっていくのだ。

 人口14億人を擁する中国はあまりにも巨大で、多様で、奥が深い。社会の変化のスピードも尋常ではなく、人々は常に流動している。そんな「よくわからない国」を理解するのは至難の業だ。

 人口減少、少子高齢化、外国人労働者受け入れなどさまざまな課題を突きつけられる私たち日本人にとって、70万人以上に膨れ上がった在日中国人の存在は無視できないほど大きくなった。

 私はそんな彼らの生き方にスポットライトを当ててみること、そして、彼らの目から見た中国、さらには日本の姿を描いてみたいと思うようになった。

 「中国の縮図」が在日中国人社会であるならば、まずそこから理解の糸口をたどることが、かの巨大な国を理解する上で必要不可欠であり、第一歩になるのではないか、と思ったからだ。

 彼らはなぜ、どうして、どのような経緯でこの日本を目指し、ここにやってきたのか。

 日本のどの街で、どのように暮らし、何を考えて生きているのか。

 そして、今の日本のことをどう思っているのか……。

 まず素朴な疑問からひもといていきたい。

(つづく)

中島恵 著 『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社、2018年)、「プロローグ」から
中島恵(なかじま・けい)
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。中国、香港、アジア各国のビジネス事情、社会事情などを執筆している。著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』(ともに日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論社)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(ともにプレジデント社)などがある。

キーワード:経営層、管理職、プレーヤー、経営、営業、国際情勢

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