ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

年末年始に押さえておきたいこの3冊 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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――GAFAは人類を幸せに導く「聖なる四騎士」になるのでしょうか。

 ギャロウェイ氏は、GAFAの成長は必ずしも社会の繁栄につながるとは限らないと言います。それは、4社はこれまでの大企業ほど、雇用を生み出さないからです。かつてGMや米IBMは何十万人もの社員を雇っていたました。ディズニーは今も約18万5000人を雇っています。一方で、フェイスブックはディズニーの倍の時価総額がありながら、従業員は約1万7000人と約10分の1です。

 GAFAは、巨額の富を、投資家とごく少数の労働者で分け合っているとも言えます。ギャロウェイ教授は「この調子だと、アメリカは300万人の領主と3億人の農奴の国となる」と、警鐘を鳴らしています。

 この警鐘は、次にお薦めしたい「対立の世紀」の内容にもつながっています。

「対立の世紀」イアン・ブレマー著

 ――年の終わりになると、我々の世界は現在、良い方向へ向かっているのか?と自問したくなるときがあります。

 「世界は良い方向に向かっているか? 」という問いに肯定的に答えたアメリカ人は6%、ドイツとイギリスでは4%、フランスでは3%しかいないという調査もあります。国際社会を先導してきた欧米先進国の国民の95%以上が、世界は良い方向に向かっていないと感じていることになります。その原因はグローバリズムの破綻にあると、「対立の世紀」(日本経済新聞出版社)の著者で、地政学の第一人者であるイアン・ブレマー氏は指摘します。

 ブレマー氏は、グローバリズムが「破滅の種を自らの内に持っている」と指摘します。グローバル化によって、発展途上国に先進国からの資金や技術が流れ込み、発展途上国では新たな仕事が生まれ、この数十年で10億以上の人間が貧困から脱したとも言われています。

 しかし一方で、グローバリズムの展開によって先進国で仕事を奪われる人々が続出しました。グローバル化によって人も大量に動き、人種や民族、宗教の対立が生まれました。ブレマー氏によれば、グローバリズムはエリートのイデオロギーです。支持してきたのは豊かな西洋の指導者たちで、情報や資金などが前例のないスピードと規模で国境を越えて流通することを推進するシステムを築いた結果、勝者と敗者はこれまでになく明確になりました。

 一部の人間は豊かになっているのに、自分たちには暗い未来しかない――。そこから台頭したのがナショナリスト(国家主義者、民族主義者)です。欧州各国では国境問題や移民の受け入れに厳しく対応すると約束した極右政党が躍進し、米国では、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプが大統領に当選しました。

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