トランザム注目プログラムより

日本版MaaS、個人認証の連携カギ パネルディスカッション「日本版MaaSの課題と解決に向けたクラウド技術とは」

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 日本経済新聞社は12月6~8日、移動ビジネスの最前線にスポットを当てるグローバルイベント「TRAN/SUM(トランザム)」を東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催した。同6日に開いた日本マイクロソフト主催のパネルディスカッションでは「日本版MaaSの課題と解決に向けたクラウド技術とは」と題し、移動手段をサービスとして提供するMaaS(マース)を日本に根付かせるために必要な技術について議論した。

<パネリスト>

原 裕一郎氏(ISAO エンジニア)

小泉 清一氏(デンソー MaaS開発部デジタルイノベーション室インフラ&アーキテクチャ課 担当課長)

見川 孝太氏(ヴァル研究所 開発本部ナビゲーゲション開発部 部長)

二宮 健一氏(日本マイクロソフト MaaS兼Smart Buildingソリューション本部 クラウドソリューションアーキテクト)

<モデレーター>

清水 宏之氏(日本マイクロソフト MaaS兼Smart Buildingソリューション本部 専任部長)

生活と働く場をつなぐ

 清水 今年4月、MaaS専任チームを設立しました。生活の場と働く場をつなげるモビリティーに着目し、ワークスタイルに資するMaaSの提供に注力しています。ニュージーランドで、公共交通を便利に使うためのプラットフォームとして当社のクラウドを提供するなど、海外ではすでに様々なソリューションを提供しています。

 それぞれの課題に応じて様々な産業が連携し、目的を達成するのがMaaSのビジネスモデルです。今日はみなさんに多様な視点からお話しいただければと思います。

  MaaSの中では、各プロバイダー企業を裏から支える役割です。デジタルタコグラフからクラウドへ飛んでくるデータを収集・分析する基盤の構築などを請け負っています。ほかに、鉄道事業者向けデータ蓄積運用基盤も設計・提供しています。運行データ、混雑情報、事業者保有データなどを蓄積し、有意義に利活用したいとの事業者からのニーズ受けて開発に着手しました。特徴はオープンデータ的アプローチができること。外部事業者もデータにアクセスし、ビジネスに役立てられるようにしています。

 小泉 現在は、クラウドで使用することを前提に開発された技術であるクラウドネイティブが重宝される時代です。クラウドネイティブ技術を活用し、ユーザーのニーズに対応できるだけの「筋肉質な」プラットフォームを構築し、MaaSの新しいサービスを提供しようと模索しているところです。

 見川 公共交通乗り換え案内ソフト、「駅すぱあと」の提供をメイン事業としています。最近では、従来の駅すぱあとで提供していた情報のみでなく、ユーザーのラストワンマイルにまで踏み込んだ情報を提供するため、シェアサイクルの情報も案内に組み込んでいます。「Next EKISPERT」構想では、当社の強みである、ユーザーに「気づき」を与え、「つながり」を広げるノウハウを活かしつつ、ほかの企業さんとの連携も積極的に広げて、従来とは全く異なる新しい形のモビリティーを示すというビジョンを掲げています。

ブロックチェーンの活用を

 清水 MaaSの大きな課題の一つが、産業連携の進め方です。参入にコストがかかりすぎると、資本力のない事業者はサービスを提供できず、結局ユーザーの選択肢が狭まってしまうかもしれません。そういった意味で、新規事業者が参入しやすいプラットフォームは不可欠です。欧州をみると様々な先行事例がありますが、弊社としては、オープンAPI的な連携を基本とし、いろいろなプレーヤーが独自のサービスをつくっていける環境が良いのではないかと考えています。日本では、どうなるでしょうか。

 小泉 今、全体としては各事業者と個別につながる集中管理型が主流です。ただ意思決定が遅いので、ブロックチェーン技術を用いた分散台帳型管理によってデータを個別に集め、局所的なサービスを構築するというアプローチが少しずつ始まっています。

 見川 個人的には、集中型よりも各事業者とオペレーターがやり取りをする分散型の方が民主的という気はしています。とはいえ、認証や決済で複雑な手順が求められるとユーザーは使いづらいかもしれないので、既存の基盤などをできるだけ活用しながら、集中管理で進めていけば、負担も少なくなりますよね。集中管理の場合、どうしても時間がかかってしまうという面はありますが。

 清水 個人情報の管理や認証もまた、大きな課題です。現状、考えられるメニューとしては大きく三つ。(1)一管理者が全ての情報を管理し各事業所と情報をやりとりする中央管理型、(2)管理者と事業者の連携のもと、情報を管理する連携型、(3)各事業者が直接管理する分散型です。

 小泉 個人情報を管理する責任をどう捉えるかは事業者によって大きく異なりますから、「ここまでは自社で責任を負う」という線引きも、現状ではそれぞれの判断に任されています。理想は分散管理ですが、管理しやすいのは中央管理型なので、今のところは中央管理型が多数です。

  連携型にメリットがあると思います。例えばLINE IDでの認証など、すでに他社が持っている顧客基盤に連携する機能をつくるだけでユーザーにリーチできれば、ビジネスメリットも大きい。ユーザー情報のなかでクリティカルなものは、個人情報のIDをもっている事業者が管理します。認証する側としては、サービスに必要なものを最低限おさえておけばよいのです。

 二宮 MaaSに関わる事業者は多岐にわたります。ブロックチェーンのような分散台帳型の仕組みを用いて、きっちり契約を履行しているか確認する必要があるでしょう。履歴やログは、データベースで管理するのでも十分だと思います。一方、中央管理型によって1カ所でデータを持っていると、グローバル展開をする時に困るかもしれない。マイクロソフトとしては、個人情報の持ち主はユーザーであるという考え方を基に、ユーザー認証を合理的に行えるプラットフォームを利用するのがよいと考えています。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、AI、IoT、ICT

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