日本の「中国人」社会

急増する日本に住む中国人、高知県民とほぼ同数に ジャーナリスト 中島恵

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中国人の、中国人による、中国人のための料理店

 2018年7月。東京・高田馬場駅で下車し、早稲田大学方面に向かって少し歩いたところにある真新しい中華料理店『沙県小吃(シャーシエン・シャオチー)』に入った。

 メニューは数種類しかなく、中華系ファストフード店といった感じだ。

「ねぇ、中国の人ってさ、毎日こんなにおいしいものを食べているの? うそー、ヤバーい」

「すごく大勢並んでいるね。ここは中国でも人気があるお店なの?」

 券売機で1杯480円の看板メニュー、ワンタンのチケットを購入し、狭いカウンター席に座ると、大学生らしき女性数人の会話が聞こえてきた。その発音から、一人だけ中国人らしいことがわかる。

「こんなにおいしいもの」という言葉を掛けられて、ちょっとうれしそうな表情を浮かべている中国人女性は「拌麺(パンミエン)」と呼ばれる和え麺について、流暢な日本語で解説していた。

 高田馬場といえば都内屈指の学生街だ。早稲田大学をはじめ、日本語学校は40校以上あり、専門学校も多い。近年はミャンマー人街と呼ばれ、ミャンマー料理店が多いことで有名になったが、ここ1~2年は急速に中華料理店の勢力も増しつつある。

 その新興勢力の多くは中国人経営による店だ。私が見たかぎり、店員はすべて中国人、客も多くが中国人。店内の会話もほとんど中国語だった。

 私が訪れた『沙県小吃』は、中国福建省三明市沙県という人口約30万人の(中国にしては)小さな街で発祥した料理を出す店だ。沙県小吃集団という地元企業がチェーン展開し、その店舗数は中国全土で約6万店にも及ぶ。中国国内ではよく見かける平凡な軽食店だが、この高田馬場店は同チェーンの海外進出第1号店だった。

 高田馬場の店は福建省福清市出身の起業家、王遠燿氏が経営する。1987年に来日してITビジネスなどを手掛ける王氏は、「中国文化を日本に伝えたい」と沙県小吃集団に持ち掛け、フランチャイズ方式で開業した。看板のロゴやレシピも本国と同じだ。

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