日経SDGsフォーラム

SDGs 保険会社も一役 安定した暮らしをバックアップ

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 国連が打ち出したSDGs(持続可能な開発目標)は、ささやかでも幸福な安定した暮らしを継続するために、課題を解決することを目指している。保険という事業は普通の人々の平穏な生活が続くように、会社がビジネスを継続し社会の役に立ち続けるように、見えないところから支えている。SDGsとの親和性が高い業種と言えるだろう。

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万一の災害でも迅速に復興支援

 2018年は地震、豪雨、台風など自然災害が多かった。損害保険の支払額は業界全体で1兆3000億円と過去最大になった。被災者は一日でも早く保険金を受け取り、元の生活を取り戻したい。MS&ADは被害認定や保険金支払いを迅速にするため、スマートフォンによる動画送信やドローンによる撮影など新しい査定方法を取り入れている。被害現場の状況を少しでも早く知ることで、保険金支払いのスピードが向上している。被災した地域の契約者には、会社の方からお見舞いの電話を入れ、現状を把握するようにしている。幸い被害を受けなかった契約者からも「心配してくれてありがとう」といった感謝の声が寄せられているという。

 人々の幸福な日々が、将来もずっと続くように支える。それを妨げるリスクを軽減したり防止したりする。災害などで万一、幸福な毎日が途絶えてしまったら、少しでも早く元に戻れるようお手伝いをする。これが保険会社の役割だとすれば、保険というビジネスはSDGs的な色彩が強いと言える。

 MS&ADは05年からインドネシアで植林を続けている。保険会社は紙を多く使うという理由から、東南アジアで森を復活させようと始めた。注目すべきは、毎年20人を超える社員が自費で、この事業に参加していることだ。柄澤社長も2回、現地に足を運んでいる。木を植えただけでは、現地の人たちは将来、生活のために、また木を切ってしまうかもしれない。木を成長させ維持するためには、木を切らなくても生活が成り立つ基盤を作る必要がある。MS&ADはインドネシアで農業の指導もしており、トウガラシの栽培が広がっているほか、小学校への寄付なども進めている。

 SDGsにつながる取り組みは多彩だ。カーシェアなどシェアリングエコノミーの拡大に対応するため、一日だけ入れる自動車保険「1DAY保険」を始めた。「タフ・クルマの保険」は環境保全に役立つ商品に付与されるエコマークの認定を受けている。地方創生にも貢献すべく、支店が提案する地方顧客のニーズに応じたオーダーメード型の保険も開発している。こうしたSDGs的な商品は、採算ラインにのるには時間がかかるが、これを機に保険を理解してもらい、長く付き合える顧客になってもらうためにも重視している。(編集委員 鈴木亮)

環境破壊や高齢化 社会のリスクに対応――
 2018年度から始まった中期経営計画で、社会との共通価値の創造(CSV)を掲げ、それを推進するための道しるべとしてSDGsを位置づけました。ただこれは急に始まったことではなく、14年度からの中計「価値創造ストーリーの展開」の中でも、グローバルな保険事業を通じて安心と安全を提供し、価値ある社会を作る姿勢を打ち出していました。

 事故や災害、限界が近づく地球環境、介護・医療の負担増、格差拡大による社会の活力低下という4つの課題に、MS&ADは正面から取り組むことを鮮明にしていました。

 高齢化や環境破壊などグローバルでみたリスクは多様化し、拡大しています。それに対処するには、企業としてある程度の規模が必要ですし、国内だけにとどまっていては役割を果たせません。私たちが世界トップ水準の保険・金融グループを目指す理由の1つです。

 企業として世界の課題に取り組むお手伝いをすることは、保険ビジネスの潜在的な顧客の拡大につながります。生活基盤がある程度、整ってくると、それを維持しようとする意欲が芽生えます。そこに保険のニーズが生まれます。

 企業にとって重要なことは、強靱(きょうじん)であり、持続的であることです。長く存続し、社会の役に立つ。私たち保険会社の役割は、そのサポートをすることです。

 日本には少子高齢化や人手不足、経済の成長鈍化など様々な課題があります。自然災害も増えています。何かあれば迅速に対応するのは当然ですが、社会の構造変化や災害などに前もって対策を講じるという視点も保険会社には重要になります。

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