NEXT GENERATION BANK

ソーシャルイノベーションはスケールと「稼ぎ」が大事 シール・モーノット|Sheel Mohnot|500 Startups

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<FIN/SUM2018 注目の登壇者インタビュー>

 自身がシリアルアントレプレナーであり、現在500 Startupsのベンチャーキャピタリストとして活動するシール・モーノットは、「金融包摂」を扱う事業には、スケールとしっかりしたビジネスモデルが必要だと語る。スモールビジネスをサポートするためには、優れたビジネス感覚が欠かせない。

 ぼくらが今日「フィンサム」のセッションで話したのは、「ファイナンシャル・インクルージョン」ということばは過大評価されているのではないかということだったんだけれども、ベンチャー投資の世界では、言ってみれば、すべてのバズワードが過大評価されているようなところがある。AI、ブロックチェーン、仮想通貨、どれもいわばバズワードで、スタートアップは投資を受けるために、実際は関係ないのにAIやブロックチェーンをやっているように自分たちをブランディングしてみせたりするんだよね。

 ぼくは米国生まれで、インドで起業をし、Kivaというノンプロフィットのマイクロファイナンスの会社を立ち上げ、その後、ペイメントの会社を起こしていまもやっている。これはスモールビジネスを助けるためのサービスで、電子決済をより簡単にできるようにするというもので、スモールビジネスの振興は、これからの時代においてとても重要なものになっていくと思う。小売のような業態はオンラインショッピングによって苦しくなってはいるけれど、レストランのようなサービス業は、マーケットはむしろ大きくなりつつあるし、実際そうしたスモールビジネスをはじめる人も着実に増えている。

 大きな企業が大量の雇用を抱えて経済を動かしていく時代ではなくなってきているのだと思うよ。ぼくらのような「インパクトファンド」では、小さなお客さんを相手にしたビジネスをサポートすることが多いのだけれども、小さいお客さんを相手にしているからといって、そのビジネスが小さいものかというと必ずしもそうではない。小さいお客さんを相手にする代わりに膨大な数のお客さんを集めなければいけないのだけれども、デジタルテクノロジーの美しさはそれを実現してくれることにあるんだよ。「ファイナンシャル・インクルージョン」はお金にならないんじゃないかって言う人がたまにいるんだけれど、そんなことはない。実際、アメリカのファンドで最も成功しているもののうち、うちのようなインパクトファンドは少なくないんだ。

 ファイナンシャル・インクルージョンのビジネスは、それ自体が持続性をもつことが重要なので、ちゃんと稼げるビジネスにならなくてはいけないし、一定以上のスケールをもつこともとても重要なんだ。顧客の獲得のためには、それなりに大掛かりなPRや広告戦略も必要になるわけだしね。いずれにせよ、金融包摂がビジネスになるのは、インドのような国だけでなく、アメリカでも、日本でも変わらない。「貧困は高くつく」という状況は、世界のどこに行ってもあるからね。

(『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』より転載)

NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える
若林恵・責任編集
制作:黒鳥社、発売:日本経済新聞出版社 
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フィンテックの勃興、仮想通貨や電子通貨の広まり、キャッシュレス化の波によって、猛然とデジタル化・モバイル化が押し進められ、さらに、マイナス金利、低成長、働き方改革などによって、産業、経済のルールまでもが抜本的に見直しを迫られてもいる。この変化の混乱のど真ん中にあって、「金融」の世界はいったい何を指針に、どこへ向けて、どう自らを刷新しうるのか? これからの新しい社会の「金融」を担うべき新しい機関=次世代銀行とは、いかなるものなのか? お金とテクノロジーと社会が織りなす社会変革の壮大なシナリオを、ダグラス・ラシュコフ、デイビッド・バーチ、武邑光裕、山本龍彦、池田純一、出井伸之、tofubeatsから、現役メガバンク取締役まで、時代を牽引する識者とともに、『さよなら未来』の著者でWIRED前編集長の若林恵が考えた、次世代ビジネスマン必読の「次世代銀行論」! <Amazonで購入する>

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