NEXT GENERATION BANK

デジタルアセット市場はまだ生まれたばかり ケン・ロー|Ken Lo|ANX International

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<FIN/SUM2018 注目の登壇者インタビュー>

 2013年に香港で設立されたANX Internationalは、デジタルアセットを管理し、交換するためのソフトやツールを提供するブロックチェーン企業だ。どれほどの規模になるのか誰も予測のつかない「生まれたてマーケット」を開拓する注目のアジア企業の描く夢を、共同創業者に訊いた。

 日本のビジネス環境は保守的で動きが遅いとよくいわれるけれども、わたしはまったくそう思っていません。大手企業の方々も、あるいは規制当局の方々も、非常に前向きで変革に対して貪欲です。とりわけ仮想通貨やブロックチェーンといった領域においては、日本は間違いなくアジアのリーダーだと思っています。ANX Internationalは香港で立ち上げた会社ですが、わたしたちが最新のプロダクトを日本でローンチしたのには、そうした理由があります。日本は、日本人自身が思っているほどにはコンサバティブではないのです。

 わたしたちがやろうとしているのは、デジタルアセットを安全に保管し、安全にやり取りすることができるようなサービスを、ブロックチェーンの技術を基盤としてつくることです。これからの時代、あらゆるものがデジタルアセットです。お金や証券といったもののみならず、音楽から映画、アート作品に至るまで、すべてがデジタルアセットになります。それをきちんとストレージし、価値化するための場所が必要となります。わたしたちは、それをつくることを夢に掲げて起業しました。いまはまだプロの投資家や機関投資家をターゲットに、そうした場所を提供している段階ですが、いずれマーケット規模が大きくなれば、リテールや個人に向けたサービスも出てくることでしょう。

 ブロックチェーンを用いたデジタルアセットの市場は、まだインターネットの出はじめの頃のような状態です。まだポータルもなく、検索もなく、SNSも存在しない頃のインターネットのようなものです。そこでは、マーケットもまだ不安定で動きも非常に速い。そして、それに対応することが既存の大手企業にはとても難しい。そうした大手企業に対して、わたしたちはテクノロジープロバイダーとして、さまざまなお手伝いができると思っています。

 言ってみれば「Amazon Web Service」(AWS)みたいなものです。かつて企業は自前でサーバーを用意していましたが、AWSの登場以降、その必要がなくなりました。同じことです。わたしたちは、ハードウェアスタックではなく、デジタルウォレットやデジタルトークン、交換のためのプラットフォームなどを揃えたアプリケーション・スタックを提供できます。加えて、社内には銀行出身者や規制当局出身者も多くいますので、金融企業が要求されるコンプライアンスについてもよくわかっています。ですから、わたしたちは既存の銀行の競合相手ではなく、むしろコラボレーターなのです。ただし、わたしたちの方が彼らよりも速く、マーケットのニーズに合わせて動くことが可能です。よりアジャイルなのです。わたしたちが提供できる価値は、まさにそこにあるのです。

(『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』より転載)

NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える
若林恵・責任編集
制作:黒鳥社、発売:日本経済新聞出版社 
1,200円(本体価格)+税

フィンテックの勃興、仮想通貨や電子通貨の広まり、キャッシュレス化の波によって、猛然とデジタル化・モバイル化が押し進められ、さらに、マイナス金利、低成長、働き方改革などによって、産業、経済のルールまでもが抜本的に見直しを迫られてもいる。この変化の混乱のど真ん中にあって、「金融」の世界はいったい何を指針に、どこへ向けて、どう自らを刷新しうるのか? これからの新しい社会の「金融」を担うべき新しい機関=次世代銀行とは、いかなるものなのか? お金とテクノロジーと社会が織りなす社会変革の壮大なシナリオを、ダグラス・ラシュコフ、デイビッド・バーチ、武邑光裕、山本龍彦、池田純一、出井伸之、tofubeatsから、現役メガバンク取締役まで、時代を牽引する識者とともに、『さよなら未来』の著者でWIRED前編集長の若林恵が考えた、次世代ビジネスマン必読の「次世代銀行論」! <Amazonで購入する>

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