NEXT GENERATION BANK

「デジタルテクノロジーで浮かれる時期はもう終わり」 黒鳥社 コンテンツ・ディレクター 若林恵氏に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 金融とIT(情報技術)を融合させるフィンテックを斬新な切り口でまとめたムック『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』が12月11日に発売された。編集に携わったのは『WIRED』の元編集長でもある黒鳥社の若林恵氏(コンテンツ・ディレクター)。同氏は「デジタルテクノロジーで浮かれ騒ぐフェーズは終わり、きちんとした“実装”が求められるようになっている。銀行やフィンテックはそれを考えるよい入り口」と発行の背景を語る。

◇ ◇ ◇

 ――『さよなら未来』を4月に出版し、次に『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』という、銀行やフィンテックに関するムックを手がけた。その背景は?

 『WIRED』の編集長のときに扱っていたような「未来」の話の問題点が、2016年ぐらいからかなり大きく出始めてくるようになった。

 たとえば、コンサルティング会社ケンブリッジアナリティカ(後に廃業)によるフェースブックの個人情報漏洩疑惑はトランプ米大統領の当選に関連して大きな注目を集めた。また、欧州連合(EU)では5月、新たな個人情報保護ルールとなる「一般データ保護規則(GDPR)」が施行された。共通しているのは、これまで以上にきちんとした「実装」がテクノロジーに求められていることだろう。スペキュラティブ(推測的)な未来の話から、より具体的な制度論へ焦点が移ったと言うこともできる。

 僕にも「テクノロジーで浮かれ騒ぐ時期は過ぎた」という認識が生まれていた。ある種、表層をいじっていたインターネット、モバイル、システムといったデジタルテクノロジーは、海外ですでに言われているように、「思春期が過ぎて、社会人になるフェーズに入った」と感じた。

 とりわけ今、大きな興味を持っているのは21世紀の人権宣言とも言われる「GDPR」で、インターネットはどういう風に「ガバナンスし得るのか」という視点でみている。また、投資や運用する人向けではない、お金のデジタル化という観点でフィンテックについて考えてみたいとも思っていた。

 インターネットが「社会人」になって「社会の核心」に到達したことで、産業の構造が変わって、企業のあり方も変わって、企業のあり方が変わって、雇用のあり方も変わって、人の働きかたも変わって――とつながっていく。そのとき、お金というものがデジタル化で、働き手をどのようにサポートできるのか。こうしたことが、海外のフィンテック、特に僕が北欧で見てきたものでは大きな主題になっていた。フィンテックにはいろいろな技術があるが、お金がデジタル化することで「個人のエンパワーメント」が実現するという議論が結構、国レベルでなされていた。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。