ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

幸之助、コトラー…この3人の名著 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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 平成最後の師走は、例年よりもさらに慌ただしく感じられる。しかしこんな時こそ「知の研さん」は怠りたくない。優れた大局観で時代をリードしたビジネス名著者3人の、それぞれ選(よ)りすぐりの1冊を紹介する。

■「大英帝国衰亡史」中西輝政著

 ――最初の1冊は国際政治学の中西輝政・京大名誉教授(1947~)です。リアリズムに徹して国際情勢を分析した高坂正堯・京大教授門下で、中西教授自らも保守論壇の重鎮として様々な提言を行ってきました。

 中西氏の代表作は「大英帝国衰亡史」(PHP研究所)でしょう。山本七平賞、毎日出版文化賞のダブル受賞で1997年の発刊から現在に至るまで読み続けられています。かつて7つの海を支配し、長期にわたって世界の政治・経済を支配し続けた大英帝国はなぜ衰退したのか。大英帝国の本質とその衰亡の原因について、多様な面から解き明かしています。

 ――同じ海洋国家として英国史は、日本人にとって興味の湧くテーマですね。

 中西氏は大国が衰退する時、必ず精神的な活力の衰えが見いだされると指摘します。 英国では1901年にヴィクトリア女王が死去しました。英国は地球の全陸地面積の約4分の1を統治下に収める帝国でした。君主国にあって、君主の交代は人の心に深い変容をもたらします。特にその君主の時代が長く、偉大な成功に彩られているほど、その後に来る時代には大いなる喪失感が漂うとしています。さらに当時の英国はアフリカの「ボーア戦争」で苦境に立たされていました。

 中西氏は、衰退の要因を次のように指摘しています。 「歴史上、多くの大国が衰退していったが、どの大国も、自らの衰退について気づかないまま、没落の日を迎えたものはなかった。それどころか、ほとんどの場合、迫り来る衰退の兆しに数々の『改革』策が繰り返し唱えられ、しばしば喧々囂々(けんけんがくがく)の大論争が行われ、しかもその果てに、結局は没落してゆくのであった」

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