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怒りに対処するには?キレないシニアになる! トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 「アンガーマネジメント」という言葉を聴くことが増えた。喜怒哀楽さまざまな感情がある中で、「怒り(アンガー)」というネガティブな感情への対処法を指す。アンガーマネジメントの研修を導入している企業の話もよく聞く。

※本連載の全記事は、こちらからご覧ください

 なぜ「怒り」という感情の対処法が話題になるのか。「感情」のコントロールが必要になって来たからだ。

 ずーっと以前から感情的な人はいたのだが、それが、昔と違って問題にされるようになったということではないだろうか。

 思い返してみると、30年以上前、私が新卒で入社した会社は外資系で、自由な空気が流れる社風ではあったが、社員はよく喧嘩していた。殴り合いこそ見たことはないが、大声を出して揉(も)めるような場面は目にした。20年くらい前でも、上司が部下に声を荒げたり、会議中に感情的に言い合ったりするようなことはまだあった。端で見ているだけでも、「嫌だなぁ」と内心は思いつつも、「職場というのはそういうものなんだろう」とある意味、飲み込んでいた気がする。

 ここ数年、急激に職場は、丁寧な振る舞いが求められる場所に変化してきたように思う。セクハラやパワハラといった概念が認知されるようになってきた影響は大きい。厚労省が「パワハラ6類型」を出したのは2012年のことだ。それに伴い、職場におけるパワハラに対する意識が一気に高まったと思われる。上司が部下を人前で怒鳴りつける、「バカヤロウ!」といった強い言葉で罵倒するなど、現在の職場では受け入れられない。

 ここで、パワハラの定義を改めて確認しておきたい。厚労省のサイトでは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」(厚生労働省、『職場のパワーハラスメントについて』)と定義している。

 注目していただきたいのは、「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」という部分である。管理職だけがパワハラに気をつければよいのではない。シニアは年長者というだけで年齢という「優位性」を持つ。だから、管理職・非管理職に関わらず、シニアは誰もがパワハラに気をつけなければならない(もちろん、“職場内の優位性”があるならば、年下の人が年長者に対して行う行為がパワハラに該当することもあり得る)。

 いまどき、さすがに手を上げることはないだろうが、ついイライラして部下や後輩に強く言ってしまう、モノに当たる、感情が顔に出やすく、周囲が気を遣わなければならない、といったことが、周囲から批判の的になることは十分考えられる。「あんな言い方しなくても」「あの態度はないんじゃないか」と思われ、パワハラと言われないとも限らない。

 とにかく、時代は変わった。問題になるラインが格段に下がったのだ。そして、キツイ口調で言われた側が「嫌だ」と意思表示したり、周囲が「聞いているだけで気分が悪い」と表明したりすることが可能となった(これ自体は、良いことだ)。

 今や、感情的にならないことは、働くすべての人の嗜(たしな)みだ。シニアになればなおさらである。なぜか。若者が感情的になっても、誰かが諭すだろうが、シニアには注意してくれる人がほとんどいないからだ。陰で「なんであんなに感情的になるんだろうね」と言われ、いっしょに仕事をしたくないと思われるのがオチだ。自分で自分の感情をコントロールすることは、シニアにとって必須スキルなのである。

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