TRAN/SUM(トランザム)特集

移動の近未来 集結、「トランザム」12月6~8日に開催

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本経済新聞社は12月6~8日に開催する「TRAN/SUM(トランザム)」で、自動運転やライドシェア、移動手段をサービスとして提供するMaaS(マース)など話題が相次ぐ移動ビジネスの最前線にスポットを当てる。内外のスタートアップ、大手企業、行政などのキーパーソンを集め、都市計画への影響も視野に入れて議論を深めるほか、事業コンテストや展示も行い、交通・移動や街づくりの未来を探る。

革新サービス、世界で急成長

 移動手段をサービスとして提供するMaaSで注目されるフィンランドのスタートアップ企業マース・グローバルは来春、アジアに進出する。

 シンガポールでタクシー、バス、鉄道などを手がける交通サービス大手コンフォートデルグロと組む。マースが提供するスマートフォン(スマホ)アプリ「ウィム」を通じ、コンフォートの各種サービスを利用できるようにする。

 マースは16年、フィンランドの首都ヘルシンキで実証実験を行った後、正式にサービスを始めた。多様な交通手段から最適な移動ルートを自動検索し、目的地まで導く。毎月の支払いで得たポイントの範囲内で、予約から決済まで一括して行える。

 先進的なビジネスモデルに注目し、トヨタファイナンシャルサービスやデンソーなどが相次いで出資。現在はヘルシンキのほかベルギーのアントワープなど欧州でサービスを行う。シンガポール進出でグローバル展開に踏み出す。

 MaaSは交通渋滞や環境問題、ライフスタイルの変化などを背景に世界で急拡大している。車などの移動手段を個人が自分で所有せず、サービスとして利用するカーシェアやライドシェアは最もシンプルな例だ。PwCコンサルティングの推計では、MaaSの市場規模は2030年までに米国、欧州、中国の3地域で1兆5000億ドル(約170兆円)に達し、年成長率は24%になる。

 日本でもMaaS実現に向けた動きが活発になってきた。トヨタ自動車とソフトバンクグループは10月、自動運転など移動サービスにおける提携を発表した。

 米マイクロソフトはトヨタと関係を深め、コネクテッドカー(つながる車)の基盤づくりを進める。西日本豪雨や北海道地震で交通網が寸断されたこの夏、活躍したトヨタの「通れた道マップ」は、マイクロソフトのクラウド「アジュール」上で稼働する。

 鉄道やバスなど公共交通機関にも取り組みが広がりつつある。小田急電鉄は9月6~16日、神奈川県とグループの江ノ島電鉄、ソフトバンクグループのSBドライブとともに、東京五輪のセーリング競技会場となる神奈川・江の島周辺で公道を走行する自動運転バスの実証実験を行った。期間中、経路検索サービスのヴァル研究所(東京・杉並)とともに、スマホアプリ「Yahoo!乗換案内」で自動運転バスの予約受け付けやルート提案をするMaaSトライアルも実施した。

 試乗者は高齢者や家族連れを含め、500人に上った。アンケート調査によると、自動運転バスの走行を「不安」「少し不安」と感じる人は試乗前には合計63%に達していたのに対し、試乗後は同18%に低下するなど「自動運転を前向きに受け入れる声が目立った」(経営戦略部)。小田急は実証実験で得た知見などをもとに、MaaSの具体的なサービスを検討する。

 国土交通省は都市の道路混雑やドライバー不足、少子高齢化による地方の交通サービス縮小などに対応し、MaaSなど新たな移動サービスの全国展開を促す方針だ。民間のイノベーションを後押しする政策が期待される。

都市計画「地方にチャンス」

 交通・移動手段の変化は、街づくりや都市計画にも影響を及ぼす。その先に見えてくるのは、最新の情報通信技術を都市生活のあらゆる領域で駆使するスマートシティーだ。

 米ロサンゼルス市は、80年代には基幹的な公共交通がほとんどなかった。しかし今では地下鉄や次世代路面電車(LRT)、バス高速輸送システム(BRT)などの公共交通が整備され、配車サービスやシェア自転車が街中にあふれる。

 行政も後押しする。市は16年から、ゼロックスと共同開発したアプリ「GoLA(ゴーエルエー)」を行政サービスとして提供。フィンランドのマース・グローバルが欧州で展開する「ウィム」と同様、市内の公共交通やカーシェア、自転車シェアなど多様な交通手段を網羅したルート検索・予約・決済サービスだ。

 シンクタンク計量計画研究所の牧村和彦理事はロサンゼルスの取り組みについて「MaaSの世界観を実現することで、誰もがどこへでも安心して移動できる街に変貌を遂げた」と指摘する。

 同市は本格的なスマートシティーを目指し、米通信大手AT&Tとこのほど提携。28年のロサンゼルス五輪開催に向け、都市部をカバーするWi―Fiネットワークの充実や次世代通信規格「5G」の活用で交通渋滞の解消や災害予防に取り組む。

 一方、日本の地方都市はいまだに車社会の色彩が濃く、移動テクノロジーの成果を生かした街づくりは立ち遅れている。車の入れない緑道を多用するなど日本発のスマートシティーを提案している建築家の末光弘和氏は「地方にこそ変化のチャンスがある」と期待する。

■物流、自動運転・・・将来占う

 トランザムでは内外の有識者による講演や討論を通じ、移動手段の革新が経済・社会に及ぼす影響を探り、企業や行政がどう対応すべきか理解を深める。

 海外の専門家がそれぞれ講演で世界のモビリティー(移動)市場の見取り図を描き、将来を占う。英調査会社IHSマークイットでモビリティー分野を担当するトム・デ・ボリーシャワー氏は豊富なデータをもとに自動車産業の将来を読み解き、米運用会社アーク・インベストのアナリスト、ターシャ・キーニー氏は注目企業を投資家の目線で分析する。

 フィンランドから運輸通信省のサーラ・レイニマキ上席専門官が来日し、世界をリードする同国MaaSの制度設計を語る。

 世界の物流、航空会社の間では、スタートアップや異業種企業との連携が活発になっている。ドイツポスト傘下国際物流大手DHLのトーマス・キップ副社長、独航空大手ルフトハンザのアレクサンダー・シュラウビッツ・マーケティング部門長を招き、オープンイノベーションをテコにドイツから世界市場をうかがう両社の戦略を聞く。

 道路渋滞や環境汚染の緩和策として関心を集める「空飛ぶクルマ」。開発を進める有志組織CARTIVATOR(カーティベーター)共同代表の中村翼氏、ANAホールディングスでドローン(小型無人機)を使った新事業に取り組むチーフ・ディレクターの津田佳明氏、ドローン研究で知られる東京大学教授の鈴木真二氏らが最前線の取り組みを話し合う。

 行政側からは国土交通省がプログラムに参加する。物流業で急速に進むデジタル化について、同分野を担当する多田浩人・大臣官房参事官がシンポジウムでスタートアップ経営者らと討議するほか、物流革命、自動運転、MaaS、スマートシティー、2027年のリニア中央新幹線開業に向け注目されるスーパーメガリージョン(巨大経済圏)などのテーマについて、専門の職員がリレー形式のワークショップを開く。

 内外から30社以上のスタートアップ企業が事業コンテストや展示、討論などに参加。近未来の交通や都市を創造するアイデアを膨らませる。

<開催概要>
名称 TRAN/SUM(トランザム)
期間 2018年12月6日(木)~8日(土)
会場 東京ビッグサイト(東京・江東)会議棟、東1ホール
主催 日本経済新聞社
後援 国土交通省、フィンランド大使館商務部
ナレッジパートナー IHSマークイット
協賛 PwC Japanグループ、三井不動産、日本GLP、PTVグループジャパン、SOMPOホールディングス、小田急電鉄、ヴァル研究所、EY Japan、地盤ネットほか
チケット 3日間で一般10万円(税込み)、学生1万円(同)。日経電子版有料会員は3割引き。購入は公式サイトから
公式サイト https://transum.jp

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。