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注目されるフリーランス、その光と影とは? 日本政策金融公庫総合研究所 中小企業研究第一グループリーダー 藤井 辰紀

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 ここまでの調査結果をまとめると、正社員雇用企業と比べたフリーランスの特徴は次の3点に集約されます。第1は多様性です。年齢や性別、業種、開業時に重視したことなど、多くの項目で、相対的に偏りが少なく、ばらつきが大きくなっています。第2は自由度の高さです。私生活のウエートが相対的に高く、収入は少ないながらも、多くの人が高い満足を得ています。第3は不安定性です。一人きりであるがゆえに、不測の事態が起きた場合の事業の継続性に不安を残しています。

「何を重視するか」で働き方に違い

 ここまで、正社員雇用企業との比較を通じて、フリーランス全体の特徴をみてきました。分析の後半では、フリーランスをいくつかの類型に分けて、それぞれの特徴を探っていきます。

 先に、フリーランスは自由度が高いと述べました。勤務者でも正社員雇用企業の経営者でもなく、フリーランスの立場を選んだ人の多くは、組織に縛られることなく、自分の思いどおりに働くことを望んでいます。ただ、ここでいう「自分の思いどおり」とは、人それぞれでしょう。だとすれば、何を求めて事業を始めたのかが、その後の働き方や満足度などに少なからず影響を与えているはずです。そこで、図で示した、開業の際に重視した要素(択一式)を用いて類型化することにしました。

 全体を3つに分けることができ、「収入」を選んだ人を「収入重視型」、「仕事のやりがい」を選んだ人を「仕事重視型」、「私生活との両立」を選んだ人を「生活重視型」と呼ぶことにします。

 1週間当たりの事業に従事する時間をみると、「50時間以上」の割合は収入重視型が29.6%と最も高く、次いで仕事重視型(24.0%)、生活重視型(15.9%)となっています。収入を得るためには、長時間労働をもいとわない、ということでしょう。一方、30時間未満の割合は生活重視型が48.3%と最も高くなっています。事業から得ている年収をみると、「200万円未満」の割合は、生活重視型で51.3%と最も高く、仕事重視型(35.2%)、収入重視型(29.9%)と続きます。逆に500万円以上の割合は収入重視型が35.9%と最も高く、仕事重視型(28.5%)、生活重視型(11.6%)の順となっています。当初の狙いどおり、収入重視型は他の類型よりも多くの収入を事業から得ています。

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