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注目されるフリーランス、その光と影とは? 日本政策金融公庫総合研究所 中小企業研究第一グループリーダー 藤井 辰紀

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 1人で稼働する事業のイメージが湧くよう、表には例を示しました。「建設業」なら一人親方、「事業所向けサービス業」ならデザイナーやコンサルタント、「消費者向けサービス業」なら出張美容師やネイリスト、「運輸業」なら個人タクシーや赤帽といった具合です。こうしてみると、一口にフリーランスといっても、様々な事業が含まれていることが分かります。

 開業する際に重視したことについては、正社員5~19人の企業では「仕事のやりがい」を挙げる割合が50.6%と過半を占めます(図)。一方、フリーランスでは「私生活との両立」を挙げる割合が39.4%と最も大きく、次いで「仕事のやりがい」(38.8%)、「収入」(21.9%)の順となっています。

 私生活との両立を重視する姿勢は、働き方にも表れています。1週間当たりの事業に従事する時間をみると、30時間未満の割合はフリーランスでは42.9%に上るのに対して、正社員1~4人では38.1%、正社員5~19人では28.6%にとどまります。労働時間の短い人が多いことから、収入は少なめです。事業から得ている年収をみると、フリーランスは「200万円未満」が40.1%と最も多く、「800万円以上」は6.5%にとどまっています。正社員5~19人では「800万円以上」(45.9%)の割合が「200万円未満」(18.0%)の割合を上回っているのと対照的です。

満足と不安が同居

 だからといって、フリーランスの満足度が低いわけではありません。「収入」「仕事の内容ややりがい」「私生活との両立」の3項目についてそれぞれ満足度を尋ねたところ、満足と答えた人の割合は「収入」こそフリーランスが正社員雇用企業を下回っていますが、残る2項目については、ほとんど遜色のない結果となりました(表3)。「仕事の内容ややりがい」「私生活との両立」ともに、満足と答えた人が過半を占めている点は注目に値します。

 一方で、生活の不安について尋ねたところ、不安を感じている人は、フリーランスでは59.3%と、正社員1~4人(52.1%)や正社員5~19人(43.3%)を上回りました。自分1人で仕事をしている人はどうやっても代えが利きません。10人、20人と従業員がいる企業であれば経営者が一時的に病気やけがで働けなくなっても仕事を回すことはできるかもしれませんが、フリーランスの場合は事業の休止や収入の途絶に直結してしまいます。あるいはマンパワーの制約上、プロジェクトを同時にいくつも抱えることが難しいため、従事している仕事が急に打ち切られた場合に収入が突然ゼロになってしまう事態もありえます。

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