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注目されるフリーランス、その光と影とは? 日本政策金融公庫総合研究所 中小企業研究第一グループリーダー 藤井 辰紀

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推進すべき対象か、保護の対象か

 このように注目されるフリーランスですが、世の中の論調からは、光と影の両面があることがわかります。前者は制約の多い勤務者の対極にある自由な働き方の象徴という側面、後者は拠るべき後ろ盾をもたない不安定な経営形態という側面です。前者に力点を置けば推進すべき対象として、後者に力点を置けば保護すべき対象として語られることになります。ここでは、双方の視座を踏まえつつ、日本政策金融公庫総合研究所が実施したアンケート(※1)の結果をもとに、フリーランスの実態に迫っていきます。

(※1)2017年9~10月にインターネットを使って実施。

 アンケートでは、フリーランスを「消費者向け店舗を構えておらず、正社員を雇用していない企業」と定義しました。フリーランス性の本質は働き方における制約の小ささにあり、消費者向け店舗や正社員の存在はこの制約の度合いを高めると考えたからです。

 フリーランスに加え、同じく消費者向け店舗をもたないビジネスでありながら正社員を雇用している小規模な企業(以下、正社員雇用企業という)も調査対象としました。規模間の比較もできるよう、正社員1~4人と5~19人の2グループに分けています。なお、家族従業員の有無や組織形態(個人か法人か)は不問としています。分析は大きく分けて2つの切り口で行いました。1つ目はフリーランスと正社員雇用企業の比較、2つ目はフリーランスをいくつかのグループに分けたなかでの比較です。

事業分野や働き方に多様性

 分析の前半はフリーランスと正社員雇用企業の比較です。両者の違いとして、フリーランスには多様性、働き方に関する自由度の高さ、不安定性といった特徴があります。

 データをみながら、順に説明しましょう。表1で、経営者の属性をまとめました。性別、年齢、主たる家計維持者の割合をみると、いずれも規模間で劇的な違いがあるわけではありませんが、「女性」や「39歳以下」、主たる家計維持者ではない人といった少数派の占める割合は、正社員雇用企業よりもフリーランスのほうが大きくなっています。

 業種をみると、フリーランスでは「建設業」の割合が20.7%と最も大きく、次いで「事業所向けサービス業」(15.6%)、「消費者向けサービス業」(12.8%)となっています(表2)。業種の分布を正社員雇用企業と比べると、フリーランスは最多層である「建設業」の割合が相対的に小さく、代わりに2番目以下の業種の割合が相対的に大きくなっています。つまり、業種のばらつきは大きくなっています。

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