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注目されるフリーランス、その光と影とは? 日本政策金融公庫総合研究所 中小企業研究第一グループリーダー 藤井 辰紀氏

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 雇われない働き方、フリーランスが近年、注目されています。副業やクラウドソーシングが広がるなかで、その経済規模は拡大傾向にあります。クラウドソーシングの仲介大手であるランサーズが実施した「フリーランス実態調査2018年版」によると、2018年時点のフリーランスの経済規模は20.1兆円で、2015年の14.3兆円から1.4倍に拡大しました。フリーランスという概念自体は必ずしも新しいものではありません。新聞紙上には少なくとも30年前から登場しています。では、なぜフリーランスがここにきて注目されるようになったのでしょうか。

注目を集める4つの理由

 背景には、少なくとも4つの構造的な変化があります。

 第1は企業における異質性への着眼です。技術の進歩は速く、消費者のニーズは移ろいやすくなり、技術や商品が陳腐化するまでの賞味期限は短くなる一方です。すべてを自前で開発して生産しようとすれば、時間がかかり競争から取り残されかねません。また、均質的な組織では新しいアイデアは生まれにくいため、一部の企業は社員の副業を解禁し、外部との交流を促すことで、イノベーションを誘発しようとしています。

 第2は働くことに関する意識の変化です。ワークライフバランス重視や生産性向上の流れの中で、長時間労働から抜け出す人たちがいます。リモートワークや副業(複業)など新しい働き方を取り入れる人たちもいます。結婚や出産で退職した女性や、定年退職したシニア層などの中には、生きがいのために働き続けたいと考える人も少なくありません。こうした人たちが、フリーランス予備軍となります。

 第3は企業への帰属意識の低下です。終身雇用や年功賃金の崩壊、人材育成のコスト削減、同一労働同一賃金の広がり…。これらが行き着く先は自己責任の世界です。組織にしがみついているだけでは、給料は簡単には増えていかない。いつ人工知能(AI)に仕事を奪われ、お払い箱になるかもわからない。こうした状況下で、企業にすべてをささげるインセンティブは失われていくわけです。

 第4は技術の進歩です。インターネットの普及で、膨大な量の情報に瞬時にアクセスすることが可能となりました。スマートフォンやクラウドの登場により、いつでもどこででも仕事を進めることができるようになりました。クラウドソーシングなど、人と仕事をマッチングするプラットフォームの登場により、取引先を探索するためのコストや手間は、以前に比べて大幅に減りました。

 フリーランス経済圏の拡大は、まさに時代の追い風を受けているのです。

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