愛されシニアを目指すスキルアップ道場

若い人から対等に付き合ってもらえるシニアになろう トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

年下の人から付き合ってもらえるような自分になろう

 しかし、そのころの私は若い人と交流することのもう一つの意味を理解していなかった。数年前、私は同年代の友人にこの話をしたとき、それを知る。

 「40歳のころにね、年長者と付き合うより、若い人と付き合ったほうがいいと言われ、最近は、できるだけ自分より若い人と関わるようにしているんです」と私は話した。

 すると彼(友人)は、こう言う。

 「あのね、大切なのは、年下の友だちを作ろう、作ろうとすることじゃなくて、年下の人に付き合ってもらえるような自分でいる、ってことだからね。自分が友だちになろうと思ったって、年下の彼らが、僕らの年代と付き合おうと思わなかったらダメなんだよ」

 おお、目からウロコだ。

 そうだ!自分より年下の人に私自身が付き合ってもらえるような人間でなければいけないのだ。

 いつまでも昭和クサイことを言っていてもダメだろうし、上から目線で説教くさいのは疎まれるだけだ。若い人の話に耳を傾けないとか、若い人から学ぶ姿勢がないなんてことは論外だ。もちろん、経験を重ねた分、若い人たちに提供できる知恵や人脈などはあるだろうが、それよりも、若い人から学ぶ姿勢を持つ、そして常に自分自身がバージョンアップしている――つまり、学び、成長していることが大事だ。

 これをきっかけに私はミドルからシニアになる過程で「年下の友だちを作る」「年下の人たちから付き合ってもらえる人になる」――という二つの考え方を自分の中にインストールしている。

年下の友だちとの会話では意識して「聴く」ようにする

 年下の友だちを持つにあたり、気をつけていることがある。「聴く」ことである。

 年長者はついつい話し過ぎてしまう。何かにつけて「あ、それはね」「私の場合は」などと話し、少しで止めておけばいいものを、延々と持論を展開している人をときどき見かける。私も気をつけないとそうなりそうだと自覚している。だから、「できるだけ聴き手に徹する」「相手が質問してきたら丁寧に答えるが話し過ぎないようにする」「同じ質問を相手に返す」の三つはかなり意識している。

 特に、三つ目の「同じ質問を相手に返す」は非常に有効なのでおススメだ。

 たとえば、「田中さんはどう思いますか?」と尋ねられたら、自分の考えをできるだけシンプルに答えた後(繰り返しになるが、年長者の話は意識しないと長くなりがち)、相手の名前を呼んで、「●●さんは、どう思います?」と返す。「田中さんはどんな仕事をしているんですか?」と尋ねられたら、簡潔に回答し、その上で、「●●さんのお仕事も教えてください」と尋ねる。

 こうやって、相手の話に関心を持ち、注意深く聴く。若い方たちの話は、とても面白いし、学ぶことも多い。「そういう風に考えているのか」「今はそういう時代になんだな」と自分のものの見方や考え方を見直したり、自分の経験だけに固執している自分に気づいたりもできる。

 年下の友だちを持ち、素直な気持ちで話を聴き、相手から学びたい。人は対話によって学ぶ。相手が自分より若い人であれば、自分の知らないこと、新しいことや新しい考え方を教えてくれる。関心を示せば、年下の人たちもたくさん話してくれるに違いない。

 同年代や年長者との付き合いは、共通言語も多く、共感できることが多々あるため、ある意味、居心地がよい。しかし、若い人と付き合える関係を築くこと。これは緊張も生まれるし、とにかく刺激的だ。

シニアを部下に持つ管理職へのメッセージ
 あなたの周りのシニアが、「最近、年若い方たちとの勉強会、あるいは飲み会に参加している」などと話していたら、周囲はどう反応するだろう?

 もしかすると、「歳がいもなく、若ものぶっちゃって」とか「若い人と仲良くして、どうしようと言うのかね」などと思う人もいるかも知れない。

 私の上司は私よりかなり年下だが、「先週、社外の勉強会に行ってみたら、30~40代の方が中心で、すごく面白かった」という話をすると、いつも関心を持って聴いた上で、こう言ってくれる。「社外の方と関わるっていいですよねぇ。刺激になるし、勉強になるし。そういうの、大事だと思います」。

 こういう言葉がけがシニアのやる気を高めるのではないかと常々思う。

 シニアのちょっとした行動を承認することも大事である。
田中淳子(たなかじゅんこ)
1963年生まれ。トレノケート株式会社 シニア人材教育コンサルタント、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本DECに入社、技術教育に従事。1996年より現職。新入社員からシニア層まで幅広く人材開発の支援に携わっている。著書『ITマネジャーのための現場で実践!部下を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)など多数。ブログは「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。フェイスブックページ“TanakaJunko”。

キーワード:人事、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修、働き方改革

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。