愛されシニアを目指すスキルアップ道場

若い人から対等に付き合ってもらえるシニアになろう トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 40代のころから努めて自分より若い人たちと交流するようにしている。私も含めてだれしも放っておくと「高校時代、懐かしいね」「老眼で大変よー」「親の介護、あ、おたくも?」といった同年代との共感を中心とした付き合いに終始する傾向があるだろう。それはそれでとても大切なことだけれど、どうしても話題は偏るし、新しい何か(知識とかスキル、人脈)を得るという方向に発展しづらい。それに対して、若い人と会話すると、いつも発見や気づきがある。

 自分より年下の人と交流しようと、意識したきっかけがある。

 40歳ごろのことだ。同じ雑誌に連載をしていたご縁で知り合った男性がいた。Aさんとする。Aさんは、知り合った時点で57~58歳だったと思うが、三十数年勤めた大企業を退職し、独立して2~3年たっていた。元の勤務先では管理職でもあったのだが、55歳で独立してからは個人事業主として人材育成の仕事に取り組んでいた。

 Aさんのキャリアの変遷に興味があったので、「どうして独立しようと思ったのですか?」と聞いてみたところ、次のような返事をいただいた。

 「50歳のとき、これまでにやってきたこと、この会社でやってみたいこと、会社員でなくても今後やってみたいことを書き出してみた。まずは、この会社でやりたいこと10個は55歳までの5年で全部成し遂げ、きちんと成果を出した。これでこの会社で思い残すことはない。一方、自分のやりたいことを会社の枠組み以外の場所でやってみたいとも思っていた。60歳の定年まで勤めてから挑戦することも検討したが、まだ体力や気力がある時点でスタートしたほうがいいだろうと考え、55歳ですぱっと退職した。それからは構想していた仕事を一人で始めたが、細々とではあるものの、まあまあ順調に進んでいるし、やりたいことだけで日々過ごしているので、充実している」

 私はその返事に対して素朴な疑問を投げかけた。

 「大企業にいると、様々な資源が使えて、できることも逆に多いのではないでしょうか。でも、独立すると、なんでも自分でやらなければならないし、顧客を探すだけでなく、協力先を探すのだって大変です。どうやってクリアしていったのでしょうか?」

 Aさんの答えは意外なものだった。

 「それがねぇ、かつての後輩たちが結構、助けてくれるんだよね」

 まだ現役の後輩たちが、色々と業務上の支援をしてくれると言うのだ。彼が勤めていたのは印刷などを得意とする企業だったが、独立して人材育成で食べて行こうと思ったとき、元の後輩たちが教材印刷を請け負ってくれるのだと言う(もちろん有料だが納期など何かと融通をきかせてくれるらしかった)。さらに、年下の後輩たちと話していると、彼らから教わることが多々あると続ける。

 「田中さん、いいこと、教えてあげようか」

 「はい」

 「今は年長者にまだ可愛がられている年齢だと思うけど、これから付き合うなら、年下だよ。若いころは、上司とか年長者に色々教わるものだけど、そのうち、双方ともに歳食って、で、いざ、自分もシニアになったとき、頼りにしようと思ったら、自分より年上の先輩も元上司も皆、力を失っているし、引退して頼りにならない。付き合うなら、年下だよ」

 こういって、ペロッと舌を出した。

 もちろん、退職した会社の後輩に、退職後も助けてもらえるのはAさんの人徳だろう。とにかく、このときの「付き合うなら年下の人だよ」という言葉は、まだシニアには遠い40歳の私にとっても心の中に強く残り、「後輩に気遣われる存在としての年長者でなく、友だちとして、対等な関係で付き合える年下の友人を見つけよう!」と思ったものだ。

 社外の勉強会やコミュニティーの場(勉強会や飲み会)へ出て行くようになったのはそれからだ。

 社外に出てみると、実に様々な人がいる。当たり前だが、会社や仕事のしがらみのない集まりで知り合えば、年上だとか年下だと変な気遣いもなく、付き合い方もフランクになる。

 実際にたくさんの友だちができ、そういう人たちから、多くのことを学んでいるし、公私ともに様々なことを教えられたり、助けてもらったりもしている。もちろん、私からギブ(Give)できることはギブもする。

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