日本経済新聞社が9月に開催した「フィンサム2018&レグサム」のスタートアップ事業コンテスト「ピッチ・ラン」の入賞インタビュー第2回は、第1回のGincoと同じく駐日英国大使館からUK賞を授与された、AlpacaJapanのジャパンR&Dヘッド、北山朝也氏。
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ディープラーニング×ビッグデータ×金融でトレーディングにイノベーションを巻き起こす
――受賞おめでとうございます。あらためてどんな会社か教えてください。
ありがとうございます。AlpacaJapanは、トレーディングにおける人工知能(AI)と人とのコラボレーションの実現を目指し、エンタープライズソリューションを提供する会社です。
コアビジネスは、AIとビッグデータを駆使した市場予測アプリの提供です。創業からの1年半で、約4億円の収益をあげています。
――以前は画像認識プラットフォームを開発していたそうですね。
ディープラーニングを活用した画像認識に社会の注目が集まり始めていた頃、私たちもノンプログラミングで高精度の画像認識ができるプラットフォームを開発しました。
そのプラットフォームは各方面から高い評価を受けました。ですが結果的に我々は、その事業をほかの企業へ譲渡する決断をしました。ディープラーニングの技術を活用してビジネスをスケールさせるには、特定の分野に特化して知見とノウハウを蓄積し、最適なソリューションを提供する必要があるのだと気づいたからです。
そこで我々が照準を合わせたのが、金融でした。
――何か理由があったのでしょうか。
明確な勝算があったわけではありません。ただ、「これまでに培った画像認識の技術を、チャートやマーケットの認識に使って、マーケット予測ができたら面白いぞ」というワクワク感や期待感はありましたね。ある意味では、当時、我々のチームに金融のプロがいなかったからこそ生まれた発想かもしれません。マーケット予測は本来、ほぼ不可能とされるほどの難題ですから。
最先端AIを駆使してトレーディングにイノベーションを起こす。その目標を達成するため、私たちがまず取り組んだのが、ディープラーニングを用いた世界発のトレーディングプラットフォームの開発です。プログラミング知識がなくても、為替市場での自動取引アルゴリズムが設計できるアプリです。16年3月に提供を開始しました。