官民連携と地域連携で実現する地方創生

農山漁村地域におけるアクセラレーションプログラム「INACOME(イナカム)」

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【挨拶・趣旨説明】

農林水産省 大臣官房政策課 課長 信夫 隆生 氏

 「INACOME(イナカム)」は、特に資金調達面での課題と対応を明らかにすることで、農山漁村地域での起業を促進することが目的だ。

 農山漁村地域の経済社会情勢は確実に厳しさを増しており、従来とは違う発想での起業が必要だ。しかし、資金調達というハードルを越えられずに、事業から撤退、あるいは計画段階で諦めるというケースも多い。そこで、一般の金融機関以外からの資金調達を条件に、地域の価値を引き出せるビジネスプランを作ってもらい、起業までにどのような課題に直面し、それを資金の提供者とともにどう乗り越えたのかを、現実の処方箋として明らかにしたい。


【モデル起業家プレゼンテーション】

狩猟家・佐賀嬉野を救うクラウドハンター創始者/ミライカレッジサポーター 太田 政信・悦子 氏

 佐賀県嬉野市で、イノシシ・シカ用箱罠専門店を起業した。背景は、有害鳥獣による農業被害の増加と、高齢化によるハンターの減少だ。

 起業の際、中小企業・小規模事業者のための経営相談所「よろず支援拠点」を活用した。仕事を委託するだけでなく、ノウハウを教えてもらった。

 IT活用も必須だ。ユーチューブの分析ツールで視聴者の年齢層やニーズを把握、商品開発に生かした。クラウドファンディングも活用した。ユーチューブのチャンネル登録者や地域、全国の方々から資金を調達、目標を大きく上回る資金が調達できた。

笑農和 代表取締役 下村 豪徳 氏

 富山県でスマート水田サービスを手がけている。稲作農家は、高齢化が急激に進行、これに伴い農家の戸数も減少、1農家当たりが管理する水田の面積が拡大傾向にある。稲作は、田植えから収穫までの間の水管理が非常に重要で、作業時間が長いだけでなく、品質が水管理に大きく左右される。そこで、水位・水温管理、水門の開閉を遠隔化する製品を開発した。農業のIT化は当初、信用を得るのに苦労した。また、ハードウエアを導入するので資金調達にも苦労した。現状の農業では、銀行は貸してくれない。最終的にはベンチャーキャピタルを利用した。今後はアジア市場への展開も計画中だ。


【起業希望者プレゼンテーション & メンターからのフィードバック・まとめ】

樺沢 氏

 新潟の雪を事業化したい。雪に埋もれた水田でセンサーが仕込まれたボールを雪に隠してスマホで探したり、雪上アートを創ったり。雪が珍しい国の人にとってはすごく楽しめるのではないかと考えた。

新田 氏

 薬草茶を事業化したい。雑草扱いされていたものにも、実はとても体に良い草がある。間引きされたハスの葉などを利用した、若者が気軽に楽しめるドリンクとしてリブランディングしたい。

太田政信・悦子 氏

 雪中のゲーム、子供心、大人になっても永遠の少年という人たちの心をつかむのではないか。ネットが不可欠な中でスマホを活用するアイデアもいい。6次化がもてはやされているが、農家は作ることで精いっぱいなのが現状だ。農家の人たちは助かるはず。売ることが得意な人とつながっていくことがいいと思う。

下村 氏

 厳しい冬を活用して農家に新しいビジネスチャンスを創出するというアイデアは、非常にいい。耕作面積を増やす以外に何かソフトビジネスを作らないと農業は厳しい。薬草茶については、富山の配置薬とのコラボもいいかも。捨てている葉をお茶にできるというのも、農家の所得増につながるいいアイデアだ。

多田 氏

 雪の事業化は、価値がないと思ったことに、価値をつけるというところが非常に興味深く、市場を海外につなげるというのもおもしろい。薬草茶も価値の創造という点が共通している。途中の間引きで捨てられてしまうものに価値を見いだすところが、ビジネスの発想として素晴らしい。

 途上国・新興国に行くと、子供がいっぱいいて活気がある。一方日本は、人口減が深刻だ。農業・漁業の人手不足や、市場の縮小すらも懸念される。しかし、海外での日本のブランド力は依然強く、国内の農山漁村地域で培ったものは、新しい発想によって、まだまだ世界で通用する大きな可能性を持っている。

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