学校で教えない経済学

社会主義が破綻する理由~市場価格なしで経営判断はできない~

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 1917年に社会主義政権を樹立したロシア革命から11月7日で101年を迎えます。この日は旧ソ連時代の最大の祝日「革命記念日」で、赤の広場などで祝典が開かれていましたが、1991年のソ連崩壊後は政府主催の記念行事は開かれなくなりました。現在のロシアではロシア革命について、その後の社会主義政権下での政治弾圧や経済破綻の経験から、批判的な意見が多いといいます。

 ところが一方、かつて資本主義陣営としてソ連と対峙(たいじ)した米英では、今になって社会主義が若者を中心に大衆の人気を集めています。

 米国では2016年大統領選の民主党予備選で民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員が旋風を巻き起こし、11月の中間選挙に向け今年6月にニューヨークの選挙区で行われた同党予備選では、サンダース氏系で同じく民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオコルテス氏が現職の重鎮議員を破りました。

 英国では、ジェレミー・コービン党首の下で社会主義的政策を打ち出す野党・労働党による政権獲得が現実味を帯びています。同党は鉄道を含め一部産業の国有化を目指しているほか、9月に開いた党大会では、大企業の株式の最大10%を基金に割り当て、配当を従業員に支払うよう義務付ける計画を発表しました。

 ソ連や東欧の旧社会主義諸国の崩壊と、それによって明らかになった国民のきわめて貧しい生活から、世界は社会主義が劣悪で持続できない経済体制であることを学んだはずです。教訓はどこにいってしまったのでしょうか。

 サンダース氏らが標榜する「民主社会主義」とは革命を否定し、議会制民主主義の中で社会主義の理想を実現しようとする考えです。独裁体制だったソ連や東欧の社会主義とは違うと支持者は強調します。けれども社会主義が持続不可能なことは、独裁制であろうと議会制であろうと変わりありません。それには理由があります。

 社会主義経済が機能しない理由としてよく指摘されるのは、まじめに働いた人も怠けた人も同じ報酬しか受け取れないのであれば、誰もまじめに働かなくなってしまうというものです。これを経済学で「誘因問題」と呼びます。わかりやすく言えば「やりがい問題」です。

 これに対し社会主義者は、その問題は克服できると反論します。人望厚い指導者が生産高、売上高などの目標を設定し、市民のやる気を鼓舞し、一丸となって努力すればよいといいます。要は気の持ちようというわけです。

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