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「アートは感性で見てほしい」の大ウソ 忙しいビジネスパーソンのためのアート講座(2)

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 「芸術の秋」たけなわだ。フェルメールやレンブラント、ムンクといった西洋絵画の巨匠が集い、今年は注目を集める展覧会が特に多い。しかし「自分の好きなように、見て感じて欲しい」と言われ、かえってユーウツになる読者の方は少なくないのではないか。せっかくの名画を前にしても、何をどう感じたらよいのか悩んだ経験は誰にでもあるだろう。東京芸術大学の秋元雄史・大学美術館長は「感性だけで鑑賞するな」と言いきる。練馬区立美術館館長も務める秋元氏は、新刊「武器になる知的教養 西洋美術鑑賞」(大和書房)で、ビジネス最前線の読者のためのアート鑑賞5原則を教えてくれている。

 国際ビジネスの現場などで、教養としてのアート知識が求められています。日々忙しいビジネスパーソンに、今話題のアート情報をお届けします。

スティーブ・ジョブズが学んだ文字アート

 ――新入社員向け研修に名画鑑賞を行ったり、社内セミナーに西洋美術の鑑賞法を加えたりする企業が増えています。

 しかし西洋美術は、単に見ただけでは意味がありません。「感じるままに見ればいい」はウソと言っていいでしょう。「この絵いいね」「きれいな色だ」といった感想では、美術館を往復する時間が正直もったいないです。やがては記憶からも薄れ結局何も残りません。

 ――長い行列に並んで名画を鑑賞しに行っても、どうもピンときません。世間の評判に頼って「皆が称賛する有名な作品を自分は見たのだ」と経験したことに満足するのが関の山です。

 多くの場合、何の予備知識もなく見た絵に、いきなり心を打たれることはめったにないでしょう。ビジネス教養として身に付けるべきアートの鑑賞スタイルは「見るより知れ」です。

 長い世界史の流れ、美術史の流れの中で、どうしてその作品が描かれたかを理解することが、ポイントになります。世界のビジネス現場で活躍するには、世界水準の美術の見方が必要になってきます。

 ――米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が文字のアートであるカリグラフィーを学んだことはよく知られています。世界最大手の民泊仲介会社Airbnb(エアビーアンドビー)の創業者のひとり、ジョー・ゲビア氏も学生時代にアートを学んだといいます。

 米ニューヨークの社交界では「ニューヨーク近代美術館」のメンバーであるかどうかが重視されています。厳しい競争社会の中で地位も名誉も資産も勝ち取った人々が、初老の年齢になってから美術館の主催する講習会に参加し、ボードメンバーになろうと勉強しているといいます。

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