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働き方改革法対策 オフィス編(3)空き家をサテライトオフィスに JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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 今回は私が自己流の働き方改革で、空き家を快適サテライトオフィスにした話です。2年前に親が他界し、宮崎県の海沿いの街にある実家を相続しました。落ち着いたら売るか、アパートでも建てて貸すか、と考えていたのですが、現実は厳しく、この地域でも世帯数が減り、住宅需要も不動産価格も下落しています。東京に住んで働いている私に、いわゆる「空き家問題」が起きたのです。

ちょっと住まないだけで急に老朽化

 親が健在だった時、実家はたまに帰省した時にとても安らげる場所でした。兄妹家族もよく集まり、バーベキューや花火をするなど楽しい思い出がたくさん残っています。しかし、実家が空き家になると急に、心配の種となり、大きな負担となるのです。

 庭いじりが趣味だった祖父母の代から、実家の庭は垣根以外に桜やもみじ、柿、ビワ、バナナなど多くの樹木や草花が植えられていました。それが空き家になると、ひと夏手を入れないだけで雑草が生い茂り、ミニジャングルのようになってしまいます。隠れた枝にスズメバチが巣を作り、沼のようになった池では大きなカエルが低い声で鳴いていました。

 木造家屋には野良猫が軒下にすみつき、屋根裏にはコウモリが出入りしている形跡がありました。屋上の太陽熱温水器は水漏れを起こし、瓦屋根から常に水がしたたり落ちるようになりました。潮風や台風の影響をもろに受け、建材や設備が腐食しやすいこともあって、人が住まなくなった家の老朽化は驚くほど速く感じられました。

 家の中にはタンスなど無数の古家具や衣類、食器など、整理する段になるとびっくりするほどモノがありました。リサイクル業者に連絡しても、何万円もの処分費用がかかるとのことで、懐かしい思い出の品々は膨大な粗大ごみとなりました。

「きれいな空き家」はなぜ増えるのか

 このように空き家になってしまうと、不審火の標的になったり、犯罪者の隠れ家に利用されたりと、予想外のリスクも発生しかねません。最もショックだったのは「空家等対策の推進に関する特別措置法」の内容でした。

 「適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要」ということで2015年2月に施行された法律です。

 住宅用地特例の固定資産税軽減措置が受けられなくなり、指導や強制執行の対象となる可能性がある「特定空家等」とは、

1.倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

にある空家等である、と国土交通省及び自治体である県のホームページに掲載されています。

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