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働き方改革法対策 オフィス編(3)空き家をサテライトオフィスに JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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コストを実際に試算してみると

 この実験にかかったコストは当初予想したほど高くありませんでした。スケジュールを2か月以上前から設定できれば、格安な航空券を確保できます。食費をはじめ物価が安いので、交通費を入れても東京で働き、生活をするコストとほぼ変わりませんでした。

これを読んで「よし、働き方改革やオフィスのあり方が課題なので、新たなサテライトオフィス制度として我が社でも導入を検討しよう」と考えてくれた経営者のために、オフィスコストとの比較を試算してみました。

 JLLが2018年10月に発表した東京都心Aグレードオフィスの平均賃料は月額1坪当たり37660円(共益費込み)です。空室率は1.5%で、人員増のためにオフィスを拡張しようとしても空室物件がほとんど無い、極めてタイトなオフィス市況です。

 昨年、ザイマックス総合研究所が発表した調査結果では、「東京23区の1人当たりオフィス面積(テナントの賃借面積÷利用人数)」の平均値は3.81坪でした。これらの数値を使うと、東京都心の1人当たりオフィス賃料コスト月額は37660円×3.81坪=143485円と試算できます。

 フリーアドレス制に加え、このサテライトオフィスを4勤務日分でも導入すれば、この1人の月額賃料コストの20%(4勤務日分)約29000円がセーブできる計算となります。オフィスには賃料以外に、デスク等の購入・リース代、電気光熱空調費、清掃費、ファシリティー管理費等面積使用に比例するコストが諸々かかります。

 このサテライトオフィスへの移動交通費やオフィス設備費に制度として全部、または一部を補助してもセーブ額の方が大きくなります。

 何より社員の仕事の生産性が向上し、元気になります。働き方改革に効果があり、空き家問題解決の1つのあり方になることを、私自身の実験結果としてご報告いたします。

佐藤 俊朗(さとう としろう)
JLL 執行役員 コーポレート営業本部長
1988年、米系大手不動産サービス会社に入社。約10年間の米国勤務を経て、日本法人で企業不動産(CRE)ならびに海外不動産サービスを事業責任者としてけん引したのち、2012年、JLL入社。四半世紀以上に渡り、日本企業及び外資系企業向けに、グローバルかつ総合的に不動産サービスを提供。不動産コンサルティングから取引管理、ポートフォリオ戦略、施設管理、海外不動産投資実務まで、広範な分野で専門的な知識と経験を持つ。明治大学ビジネススクールの兼任講師も務め、「グローバルCRE戦略論」等の不動産関連講義を担当している。取得資格:FRICS MCR 米国不動産ライセンス(NY/NJ/CA州) 宅建

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