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働き方改革法対策 オフィス編(3)空き家をサテライトオフィスに JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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サテライトオフィスの意外な効用

 そこで、空き家をサテライトオフィスとして活用する実験に取り組んでみました。まず、立っても座っても仕事ができる中古デスクと、BGM用のスピーカーを居間だった場所に設置しました。さらにウェルビーイング感を盛り上げるために、縁側を改造するための設備投資をしました。アウトドアリビングで仕事ができるように、庭にせり出す広いウッドデッキを造ったのです。サーファーも借りたいと思うようなサマーハウス風に変身しました。総工費についてですが、もし空き家として増税された場合に想定される固定資産税の年額の約半分ですみました。

 この空き家サテライトオフィスへの出勤計画は1カ月に1度、3~4日間(稼働日の15~20%程度)働き、週末にリラックスした後に東京へ戻るというものです。すでにこの一年近く、実施しています。この際重要なことは、所属する部署のメンバーにもスケジュールやタスクを共有し、チームワークが機能しないということが無いよう、しっかり準備することでしょう。

 私自身が一番実感した業務効果は、仕事環境が心地よいので予定していた業務を支障なく、9時から17時の間にスッキリこなせる日が東京で働く場合より多いことです。時間外勤務は時差のある海外との電話会議を除いてほとんどしません。スカイプや電話会議システムを使えば、会議への参加も問題はありません。スーツを着ることはもちろんありませんし、アウトドアリビングで会議に参加できるのも爽快です。集中できる環境なので、プレゼンや提案書の作成、データ分析、原稿書きなどの業務がはかどります。

 実験して分かったことですが、クライアントと直接会う必要がある面談や、チームでのコラボレーションを高度に必要とするディスカッションなどを、東京できちんと実施しておけば、メールやネット通信で営業開拓などの業務も、より集中して取り組むことができます。

 業務効率以外にもウェルビーイング向上の効果は抜群で、東京に戻ってきても元気が持続します。

 17時には予定業務を何としても完了させよう、と頑張れるのは楽しみなことがあるからです。夕焼けの港町を眺めながら、近所の海水温泉に入るのです。さらに、地元の友人と新鮮な魚を食べながら焼酎を酌み交わすこともできます。街が抱える問題や、いつ祭りがあってどう盛り上げるか、という話に発展します。

 月に1度のサテライトオフィス勤務期間に、故郷の社会との関わりを一部でも取り戻すことができます。自分の経験を地元振興のために使う機会が与えられると感じることができ、私のライフワークバランスとウェルビーイングに大きな充足感をもたらしてくれています。

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