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働き方改革法対策 オフィス編(3)空き家をサテライトオフィスに JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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 ひとまず特定空家等の認定や治安、防災上のリスクは低減しました。維持管理費や固定資産税などはかかりますが、何倍も課税されるのに比べれば、はるかに経済的です。きれいにしてからは、「空いていれば貸してくれませんか」という問い合わせも出てきました。住宅用地相場の変動以上の価値下落も防いだことになります。

働く場所としての空き家

 庭がスッキリすると懐かしい山並みが出現し、広い空の青や夕焼けの色がはっきりと感じられるようになりました。潮の香りもします。私にとって最高に落ち着ける空間となりました。すると空き家問題で憂鬱だった心が自然と元気になりました。どうせならここで働きたい、と思うようになってきたのです。自分にあった働き方で、いつもより良い仕事ができるのではないかという気持ちにさせてくれるのです。

 私は生産性を高める働き方改革には、働く場所の選択肢があった方が良い、ということを研究しています。働き方改革が求められる中、日本企業にもウェルビーイングの考え方が重視されるようになってきました。ウェルビーイングは世界の多くの先進企業がオフィスのあり方などに取り入れている概念で、「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に、すべてが満たされた状態にある」ことを意味し、「幸福」と訳されることが多いようです。

 人が働く場所で、「Fulfillment:満たされた幸せな気持ち」や「Empowerment:信頼され、働く場所やツールの選択の自由が与えられていること」を体感できる環境が実現されると、飛躍的に生産性が向上するとされています。

 また、和歌山県の南紀白浜にあるサテライトオフィスを取材した際には、より自分の生活に近く、ライフスタイルに合った環境やロケーションで近隣社会と友好的につながり、通常のオフィスではできない働き方をすることが生産性の向上につながる、ということを学びました。

 ITの発達でテレワークが可能となった今、パソコンとインターネットにアクセスできる環境があれば、どこでも仕事ができます。私の東京のオフィスはフリーアドレス制で固定席は無く、その日の業務と組織活動に支障がなければ、オフィス内でも、外のコワーキングスペースや自宅で働いても良いのです。

 実家である空き家は私にとって、最高の働き場所の1つだと気づいたのです。朝一番の飛行機に乗れば、午前9時半には心から落ち着いて仕事ができる場所となってくれるはずです。

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