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働き方改革法対策 オフィス編(3)空き家をサテライトオフィスに JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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 要するに、家屋や庭を空き家のまま放置すると、「特定空家等」に認定され、行政処置に加えて、3~6倍の固定資産税が課される可能性があるのです。実家の空き家も、少しは閑静といえる海辺の住宅街にあり、近隣からの目が気になります。たったひと夏で荒れた様をみても、近い将来そうなる可能性が十分あり得るのです。

 老朽化を阻止するため、いっそのこと家屋を撤去して更地にしてしまおうとすると、住宅用地に該当しなくなって固定資産税の軽減措置がなくなります。解体撤去費用に加えて、ここでも3~6倍の固定資産税が課されることとなります。家屋建物分の課税は無くなりますが、建てて何十年もたった住宅は課税対象のほとんどが土地なのです。

 売るに売れない空き家を荒れたまま放置しても、劣化する家屋を撤去しても、税金が増えたり治安上のリスクが高くなったりします。こうして人が住んでいないのに、ある程度きれいに管理、維持された空き家が日本全国に生まれるのだと、悟りました。

 空き家を維持管理するには、固定資産税、掃除や草むしり、火災保険、帰省費用など負担がかかります。一方、日本では人口減少が続いており、平成25年の総務省の住宅・土地調査によると、日本全国の総住宅数6063万戸のうち820万戸、実に15.3%が空き家として存在しているのです。うち別荘等の2次的住宅は41万戸のみで、それを除いても、12.8%は使われていない空き家なのです。

まずは自力で空き家リスクを低減

 東京から離れた空き家のことを考えるだけで、心配になります。まずは庭を空き家とわからない程度にきれいにしようと、帰省の際に草むしりに挑んでみました。しかし、ひと月もすると、根こそぎ抜いたはずの雑草がまた生えてきて元通りです。

 「さてどうしたものか?」と真剣に考えました。実家をただ同然で処分したり、ムダに何倍もの税金を払ったりするより、もっと良い選択があるはずだと。

 何倍もの税金を払うよりコストが低い、と決心して、エクステリア工事業者に依頼して庭をショベルカーで根こそぎ整理してもらいました。垣根と桜、もみじなど数本だけ樹を残し、防草シートを張った上に細かい砂利を敷き詰めると、ちょっとした日本庭園風になりました。

 次は有給休暇をとって、家屋の周りをかたづけました。猫も追い出し、壁のすす払いなどの簡単な清掃、縁側塗装と害虫対策をしました。実家の中の整理では、最小限の家具と少しの思い出の品を残して軽トラックで清掃工場へ何度も往復もして一気に廃棄しました。

 家の中に庭からの光が差し込み、「こんなにも広かったのか」と思えるのどかでオープンさを感じさせるスペースとなりました。長い廊下と木をふんだんに使った居間、太い床柱のある和室は古民家カフェや民泊で利用できるのではないかとも思えました。大工さんがしっかりと建てた日本の木造家屋は美しいのだと分かったのです。

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