パワーハラスメント

言葉が独り歩き、何でもパワハラにする部下も登場 クオレ・シー・キューブ 岡田 康子、稲尾 和泉

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 今や世の中に広く認識された「パワハラ」。その言葉を作ったクオレ・シー・キューブ 岡田 康子、稲尾 和泉の両氏が最新動向を踏まえて、『パワーハラスメント<第2版>』(日本経済新聞出版社)を著しました。今や社会問題化し、労災にも認定されるようになったパワハラ。今回は言葉の普及によって起きている変化について説明します。

◇ ◇ ◇

(1) 何でもパワハラにする部下

 私たちがパワハラという言葉を生み出したのは、2001年の冬ごろです。その後、継続的にパワハラの被害者を対象とした一般の電話相談窓口を開設し、5年ほど相談をお受けしました。相談内容は非常に深刻で、「役立たず」「死んでしまえ」「ここから飛び降りろ」などの暴言は当たり前、中には「灰皿をぶつけられた」「頭を思い切り殴られた」「けられた拍子に骨折をした」などという訴えもありました。

 心身への影響も深刻で、「上司が座っている席のほうの耳が聞こえなくなった」「上司のいるほうに首が回らない」などの身体症状に悩む人や、うつ病を発症し自殺未遂をした体験を話してくれた人もいました。私たちはその被害の深刻さに驚き、パワハラのない働きやすい職場環境を実現したいと思い、活動を続けてきました。

 その後、マスコミに大きく取り上げられたことなどもあって、企業で防止活動が大きく進みました。今や「パワハラ」という言葉を知らない人はいない、と言えるでしょう。

 しかし、それに応じてパワハラの問題が減るかと言えば、そうではありません。実際、前述したようなひどいパワハラ問題はだいぶ少なくなりましたが、相談の数は増え続けています。また、特徴的な変化が起こっているのを感じています。

 たとえば、「私の能力を活かす仕事を与えないで、評価を下げるのはパワハラではないか」「私は何もわからないのだから、最初から全部わかりやすく説明するのが上司の責任。そうしないのに、仕事ができなくて叱られるのはパワハラだ」「上司がシフトをつくるときに、気に入った人だけえこひいきしている。これはパワハラではないか」というような相談が、実際に入ってきています。

 当然、まったく上司に問題がないケースだとは言い切れませんが、部下にも仕事への取り組み姿勢やコミュニケーション上の問題があるのではないかと感じてしまうような内容もあります。また、その行為の程度からパワハラとは言えないような相談も、最近多くなってきています。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。