学校で教えない経済学

現代経済学は「見せかけの知」?~数学の誤った利用~

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 2018年のノーベル経済学賞は米エール大のウィリアム・ノードハウス、米ニューヨーク大のポール・ローマーの両教授への授与が決まりました。1968年に創設された経済学賞は今回が50回目の授与となります。今の経済学の本質的な問題について考える良い機会です。

 今の経済学の本質的な問題とは、一言でいえば「自然科学の模倣」です。

 この問題はノーベル経済学賞そのものとも深い関わりがあります。ご存じの方も多いでしょうが、ノーベル経済学賞は厳密な意味ではノーベル賞ではありません。ノーベル賞の公式サイトにも「ノーベル賞ではない(Not a Nobel Prize)」とはっきり書いてあります。

 端的に示すのは正式名称です。他の賞の正式名称が「ノーベル物理学賞」「ノーベル化学賞」などであるのに対し、経済学賞は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」といいます。スウェーデン国立銀行とはスウェーデンの中央銀行で、日本でいえば日本銀行にあたります。

 物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の他の5つの賞がアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて創設され、1901年に始まったのに対し、経済学賞のスタートは前述のように、20世紀も後半の1968年。スウェーデン国立銀行が設立300周年を記念してノーベル財団に働きかけ、創設されたのです。

 文学、平和賞を除けばもともと自然科学を対象に創設されたノーベル賞。自然科学者の中には、経済学賞の追加を快く思わない人々もいたようです。最初の経済学賞が贈られた同じ年、クォーク理論で物理学賞を受賞することを知らされた米物理学者、マレー・ゲルマン氏は「彼らと一緒に授賞式に並ぶということか?」と不満を鳴らしたとされます。

 けれども学生時代、経済学をかじったことのある人はこう思うかもしれません。「経済学は社会科学の中では自然科学に近い学問。だって自然科学と同じように数学を駆使しているから」

 たしかに今の経済学の論文や専門書は、同じ社会科学に分類される法学や政治学、社会学などと異なり、まるで物理学のように数式や記号にあふれています。経済学者自身、数学に基づく厳密な学問であるという誇りを込めて、経済学を「社会科学の女王」と呼ぶことがあります。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。