商社マンおすすめ!海外ビジネストリップの必需品

英語で商談したイタリア出張、防犯重視でカバン選び 福泉 正弘、文・構成:八鍬 悟志

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 海外出張では、現地の治安に細心の注意を払う必要があることを常に肝に銘じている。これは欧米といえども例外ではない。イタリア出張でローマとフィレンツェに滞在したことがあるが、ここではスリ・引ったくりに悩まされた。ローマをはじめとするイタリアの各都市における出張の必需品は、何と言っても防犯性が期待できる頑丈なカバンだと思う。値は張るが、私はずばり「トゥミ(TUMI)」製のカバンを愛用している。

 このイタリア出張で私は、醤油や味噌といった調味料などの食品を売り込む商談に臨んだ。英語なら話せるというイタリア人を一人で訪問したのである。上司から業務を引き継ぎ、商談相手とのメールはなんとかしたが、当時(今もだが)、英会話で交渉をすることは非常に不安だった。通訳なしの単身で、フォローしてくれる上司も同僚もいない。そのうえ、商談相手のイタリア人にとっても英語は第一言語ではない。

 それでも、結論を言えば十分に内容のある商談ができたと感じた。私も相手も言葉はたどたどしかったが、互いが互いを理解しようとする気持ちがあった。この商談をこなしたことで、初めて訪問する商談相手にも臆せず対応できる自信が生まれたと思う。

 これは個人の意見だが、相手が十分に理解できる現地の言葉による商談より、互いが得意でない外国語による商談のほうが、核心と本質だけを求めるのでうまくいく傾向があるようだ。極端な話、日本人と日本語で行うより商談よりもすぐ本題に切り込めると感じる。おそらく「言葉」は商談におけるコミュニケーションの一部に過ぎないのだろう。もちろん、商談相手の性格、商談の内容・重要度にもよるが、現地の言葉が話せないから海外市場に踏み出せないと考えているビジネスパーソンには、この点を強く訴えておきたい。

フィレンツェでは宿の気さくな女性に感激

 フィレンツェでは小さな宿屋のようなホテルを拠点に数日滞在したが、宿のよく働く気さくな女性に感激した。彼女は朝早くから夜遅くまでほとんど一人で切り盛りしていた。まだ誰もいないガランとした時間に食堂へ朝食に行っても彼女は朝食をサーブし、常時訪れるお客とのフロント業務をこなす。若いころのオードリー・ヘップバーンに似ていたので、私はひそかに「オードリー」と呼んだ。

 朝食で私はいつも同じ席に座った。生ハムとサラミにチーズの盛り合わせ、それにクロワッサンなど数種類のパン、さらにミルクとオレンジジュース――どこのホテルでも変わり映えしないこんなメニューが、イタリアではなぜか美味くてたまらない。

 朝食が終わる頃、オードリーがカプチーノを運んでくる。その日、彼女はテーブルの向かいの椅子に腰掛けて英語で話しかけてきた。「明日はクリスマスでショップもレストランも美術館も休みだから、今日中に行きたいところに行っておけ」と言う。

 本当に翌日のクリスマスは、街中がゴーストタウンのように静かだった。やることのない私はフィレンツェのターミナル駅そばのバールで赤ワインを2本買い、ホテルの屋上で飲んだ。ワインオープナーがなかったので、オードリーに借りた。彼女はワインオープナーと一緒に小さなグラスを1つ持ってきたので、「ありがとう、でも自分のグラスはあるよ」と言うと、オードリーは「これは私の分をそそぐグラスだ」と笑った。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。