泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

トヨタのMaaS戦略、世界での現在地はどこか テクノロジーアナリスト/GFリサーチ 代表 泉田良輔

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トヨタにビジネスモデルの変革を迫る背景とは

 トヨタのトップが「100年に一度」と表現するほどの覚悟でビジネスモデルの変革に取り組むのはなぜであろうか。

 トヨタの業績は非常に堅調だという見方もあろう。下図はトヨタの過去10年の業績推移である。2009年3月期はリーマンショックがきっかけとなった世界景気のスローダウンにより当期純損失という状況になったが、その後、業績は大きく改善し、2018年3月期は当期純利益として約2.5兆円近くを計上している。

 しかし、問題は足元の生産台数の伸びである。下図はトヨタ自動車の2002年(暦歴)から17年までの生産台数の推移(ダイハツおよび日野自動車の数値は含まず)であるが、2012年以降、あまり生産台数が伸びていない点に注目したい。2012年は871万台、2014年は900万台を超えたが、その後は再び800万台の水準に落ち、2017年は901万台となっている。

 2012年以降は、為替レートが円安に振れたことや「トヨタ生産方式」の推進と原価低減などにより収益性が改善されたことにより売上高、収益ともに拡大したことは先に見た通りではあるが、事業規模として最も重要なトヨタ自動車における生産台数が伸びてはいないのだ。

 過去にはこのようなことは考えられなかった。リーマンショックの影響が出た2008年および2009年、また東日本大震災のあった2011年は対前年比で減少しているが、いずれも翌年には回復し、基本的には右肩上がりの生産台数となっている。

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