長島聡の「和ノベーションで行こう!」

中小の成長支えるITビジネスとは? 第19回 コアコンセプト・テクノロジー 金子武史CEO・田口紀成CTOに聞く

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長島 コミュニケーションというかネットワークはどう広げてきたのですか。

金子 1社1社を訪問します。小さいIT企業は設立当初の我々のように小さいビルに入っていることが多く、電話・メールでアポを取り訪問します。担当者は週に12~13社、月に1人50社ほど回ります。日本には30人以下のIT会社が25000社くらいあるとみています。弊社は近い将来、その全てを訪問したいのです。小規模な企業は販路が弱いことも多いので、弊社の事業を紹介すると一緒に仕事がしたいと思ってくれることが多いです。その上で、相手の創業エピソードから得意技術、方向性などをしっかり聞きます。相手を理解したうえで、近い距離で関係を築き、極力我々から仕事を発注します。これは、こちらから取引関係にするということです。こうすると、ネットワークと経済圏が広がっていきます。

実現できそうな夢のある提案が重要

長島 実力のある協力会社を集めることと、協力会社に継続して出せる仕事を確保することが勝負になりますね。

田口 協力会社には良い単価で仕事を紹介するので、優秀なエンジニアをアサインしてください、と言えるように、日々工夫をしています。まずは顧客企業に対して、ちょっといい夢を見てもらえるような提案をするのがポイントです。これは実現できるかもしれない、という提案をして、実現できたら見合うだけの金額をください、と交渉するのです。そういう良い案件が2年、3年と続くと、弊社と協力会社の間でも好条件のビジネスを続けられる環境が出来上がります。

長島 製造・金融・流通と全く異なる3つの事業を手がけていますね。各業界の常識の違いなどがイノベーションに結びつくことはありますか。

金子 弊社は事業部が6つあり、年2回ビジネス合宿という形で事業レビューをしているのですが、ある時の合宿で、製造業担当の事業部と金融業担当の事業部の常識の違いが垣間見えるシーンがありました。製造はスクラムという手法で、顧客と一体で仕様書を作らず開発するスタンスです。一方、金融はウオーターフォール型で、要件定義書だけでも200~300ページの文書を書いて厳格に設計・コーディングします。どちらも年間5億~6億円の事業規模で、仕事のやり方の違いといえますが、金融の事業部長は製造に「仕様書なしに、どうやってその規模の開発ができるの?」と聞くし、製造の事業部長は「仕様書何百枚って、そんなに何を書くことがあるの?」とたずねます。通常は出会わない2人、2事業が出会った、という感じでしょうか。その後は互いの方法を聞いて、各事業の改善に結び付けました。イノベーションにつながる、ダイバーシティーのエッセンスと感じました。

長島 なぜ対話が深まってくるのでしょう。

金子 「もっと良くできる」と思っているからかもしれません。弊社には社員より優秀な協力会社のエンジニアも多く参画しています。すごい人を間近で見ることで、自分たちのやり方ももっと変えていける、皆その感覚があるのだと思います。

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