ZEBが実現する省エネルギー社会

【基調講演】田辺 新一 氏 ゼロ・エネルギービルの進展と展開

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 ZEBという単語は2006年に海外で初めて耳にした。日本では09年の資源エネルギー庁の研究会開催から認知されるようになった。ZEBは東日本大震災後の業務部門の省エネ対策や温暖化ガス削減を約束したパリ協定への対応などで必要なほか、近年は投資対象としても注目が高まる。

 国は16年度からZEBの実証事業を続けている。最初の24物件の集計データを見ると、設計値よりも10%以上エネルギー消費が減った。一番の要因は消費量変化の見える化などで省エネへの意識と行動が変わったこと。これらは重要な研究対象である。空気調和・衛生工学会では14件のZEB先進事例とその実績値評価を紹介している。こうしたベストプラクティスの収集も重要である。

 日本には大量の建築物ストックがある。今後はZEBへの改修により資産価値を高めることも必要だ。現在は設計値を評価しているが、運用時の管理・サービスも重要で、それが新しいビジネスになるだろう。

 さらにスマートグリッド(次世代送電網)やIoT、人工知能(AI)、ビッグデータ、シェアリングエコノミー、電気自動車(EV)、サイバーセキュリティー、超高齢化と長寿社会。こうした新しい技術や課題もZEBの要素として捉え、対応していく必要がある。

 ZEBの価値はエネルギー削減にとどまらない。働き方改革への貢献もその1つだ。最近注目されるESG(環境・社会・統治)投資の面からも不動産価値を高めるだろう。国のSDGs(国連の持続可能な開発目標)アクションプラン2018でも、ZEBは優先課題の主な取り組みに位置付けられている。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。