官民連携と地域連携で実現する地方創生~実装に入った地方創生~

パネルディスカッション 地方創生の基盤となる奥羽・羽越新幹線の実現に向けて

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<パネリスト>

吉村 美栄子氏

鈴木 洋 氏(金山町長)=写真左上

佐藤 嘉高 氏(山形県観光物産協会 専務理事)=写真中上

清川 千賀子 氏(米沢商工会議所女性会 会長/米沢ツーリストサービス 専務)=写真右上

星川 務 氏(日本青年会議所東北地区 山形ブロック協議会 直前会長)=写真左下

橋本 道春 氏(オリーブ 代表取締役/映画監督)=写真右下


<コーディネーター>

岩倉 成志 氏(芝浦工業大学 工学部土木工学科教授)=写真


東北・日本海側地域の一体的発展に意義

岩倉(コーディネーター) フル規格新幹線は雪等に強く耐候性があり、時間に対する信頼性も高い。また、東日本大震災では1カ月強、熊本地震では2週間余りで復旧するなど、耐震性にも優れている。

 フル規格新幹線が開業した八戸、青森、熊本などの地域においては、交通需要が大幅に伸びている。また、これらの地域では、企業立地が大きく進展しているほか、観光面でも金沢をはじめ大きく需要を増やしている。

 九州新幹線は当初、整備路線5区間中、4番目の整備順とされていたにもかかわらず、非常に早い時期に整備された。これは、難工事区間の優先整備や駅整備による先行的な地域づくりといった、故・小里貞利衆議院議員のアイデアによって成し遂げられたもの。難工事となる福島―米沢間のトンネルについても、フル規格仕様で先行的に整備していくことが奥羽・羽越新幹線を実現していく上で非常に重要だ。

吉村 奥羽・羽越新幹線の実現により、本県のものづくりの伝統、高い技術力、最先端の研究・技術を生かした産業活性化やほかの地域との連携促進が期待される。観光面でも、滞在可能時間の増加によって、本県の魅力ある観光地を数多く周遊いただけるようになる。隣県地域との連携により、魅力的で多様な広域観光も可能となる。また、通勤通学圏が広がることで、県内の就業・就学機会が増え、定住人口の増加や若者の地元定着につながる。

 フル規格新幹線の実現に向けては、地域の熱意を高め、政府を動かすことが重要。このため、県はもちろん、県内の様々な団体や県民一人ひとりが運動の主役となり、地域の熱意を高めて政府にしっかりと伝えるとともに、こうした取り組みを地域レベル・県民レベルに浸透させて息の長い取り組みにしていくことが大切。

 沿線の青森・秋田・福島・新潟・富山・山形の6県が連携した取り組みも進めている。近年では、関係県知事が一堂に会しての要望活動やシンポジウムなどを実施。昨年は、関係6県が合同でプロジェクトチームを設置し、両新幹線の整備効果等の調査・検討に着手するなど、沿線県との連携が深まっている。今後は、四国、山陰、東九州など、同じくフル規格新幹線の整備を求める地域とも連携して、強力に取り組みを進めたい。

地方に欠かせぬインフラ整備 人口流出防ぎ観光客増加

鈴木 フル規格新幹線などのインフラ整備は地方にとって不可欠。同時に、地元がそのストック効果を高めるための取り組みを進めることが重要。町では現在、町内の空き地を活用して子育て世代の住宅を建設し、定住化につなげていくなど、将来にわたり持続可能となる地域づくりに取り組んでいる。若い世代の方々の意識を高め、フル規格新幹線実現後の地域の発展の姿を目標に持って、運動に加わっていただくことが重要。

佐藤 東北の中で1月、2月の訪日外国人(インバウンド)数が最も多いのは山形だ。2月1日から4日間にわたり、山形において、スノーカルチャー・ツーリズムをテーマとして国連の世界観光会議も開催された。1992年から日本のインバウンド人口は8倍になり、今後ますます拡大していくといわれる。山形は外貨獲得のため大きく貢献できる戦略的なエリア。早く、確実に目的地に観光客を到達させることができるフル規格新幹線が求められる。

清川 旅行業者として、山形新幹線の運休・遅延による旅行キャンセルや行程の変更などのトラブルを数多く経験している。

 女性会のネットワークをフル活用して、フル規格新幹線の実現に備えて活動を展開したい。フル規格新幹線整備に向けた勉強会を開いて地域づくりについて議論していくほか、豊かな自然、食材、温泉など、本県の多くの素晴らしい資源を生かし、女性会で歓迎行事や観光地の魅力づくりを進めていく。地域の持続的発展など、大きな期待感を持ちながら取り組んでいきたい。

星川 フル規格新幹線の整備により、地域に魅力ある仕事が増えるとともに、子育てしやすい環境が形成され、若者の地元回帰が促進される。様々な物事を動かしていくのは民意。本県青年会議所(JC)では、昨年より、フル規格新幹線の実現に向けて署名活動を展開。県内で10万筆以上を集めて、フル規格新幹線の実現に向け努力していきたい。

橋本 地域からの人口流出を食い止めるため、高校生を対象とした職業体験の実施により、進学や就職で上京した若者の地元定着に取り組んでいる。山形と東京との距離を遠いと感じる学生は多い。フル規格新幹線の実現により、「東京でしかできない」と考えている学生の意識も変わるはずだ。

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