シンポジウム:水素が導くSociety 5.0

パネルディスカッション 水素が導く Society 5.0

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<コーディネーター>

橘川 武郎 氏(東京理科大学大学院 経営学研究科 教授)


<パネリスト>

江澤 正名 氏(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギーシステム課長/水素・燃料電池戦略室長)=写真左

鈴木 毅 氏(川崎市 臨海部国際戦略本部長)=写真右

サム ブルース 氏

原田 英一 氏

中島 良 氏

宮崎 淳 氏


水素社会実現への課題

橘川(コーディネーター) 水素社会実現に向けての一番のネック、課題は何か。

原田 まずはコスト。水素を大量に作り、大量に運ばないと安くならず利用が進まない。第2に低炭素、脱炭素の価値をどう高めていくか。第3に安全性、信頼性への懸念の払拭。そのための技術開発はメーカーが責任を持って進めていきたい。

宮崎 FCVの台数を増やす一方、水素ステーション(ST)を自立化させる必要がある。ST運営側としては、さらなる技術開発や規制見直しなどを通じて水素供給低コスト化の地盤づくりを着実に進めたい。

中島 経済的自立に向け当社では再生可能エネルギーを水素に替えて蓄えるシステムH2Oneの開発を進めている。技術的なイノベーションと、量産効果によるコストダウン、制度面からの導入支援などを同時に進めていく必要がある。

江澤 水素関連技術の普及によって二酸化炭素(CO2)換算で環境価値がどれくらいの水準になるかを明確にし、技術開発では長期的な目標を示すことが必要だ。規制改革については現時点で37の項目が閣議決定し、その合理化に向けて取り組んでいる。

鈴木 川崎市が行っているリーディングプロジェクトでは規制など様々な課題に直面している。これら課題を政府機関や民間企業の方々と話し合いながらクリアしていくことが我々の役割だと考える。水素に対する市民の不安感も依然あるのも事実なので、一つ一つの水素プロジェクトを通じて着実に社会認知を深めていきたい。

ブルース 潜在的には、水素で走る車よりガソリン車の方が引火しやすい。それでも私たちは、多くのガソリン車が道を走る状況に慣れている。このため我が国では、水素の使用に慣れてもらう試験的事業を行っている。政策的には水素供給のリスクに対応した規制を設けることも重要だ。

Society 5.0

橘川 Society 5.0における水素の役割は。

原田 水素で熱と電気を供給する「スマートコミュニティ水素CGS実証事業」を行っている。今後は再生可能エネルギーを組み合わせ、さらにすべてのものがネットにつながる「IoT」、情報通信技術(ICT)で最適に制御する取り組みにつなげたい。

中島 当社ではエネルギーマネジメントシステムの高度化を進める中で、的確な需要予測を基に無駄なくエネルギーを活用する試みを実施中だ。例えば、H2Oneシステムに天気予報情報を取り込むことで、晴天時に太陽光発電で水素を作っておき、曇りや雨が続くときは燃料電池で発電する先読み需要予測システムを稼働している。

ブルース 水素はエネルギー密度が高いため、コンピューターを駆使する今後の自動運転車両としては、電気自動車(EV)よりFCVにアドバンテージがある。充填時間が短いので、エネルギー管理向上の一手段として、家庭用電源として活用することも可能だ。

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