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中国が抱える「脱実向虚」という名の爆弾 関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞く(4)

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 トランプ米大統領が「第4弾」の追加課税を示唆するなど米中貿易戦争が泥沼化しつつある中、中国経済への懸念材料として金融リスクとともに指摘されているのが、日本のバブル期を上回るスピードで企業債務が拡大している点だ。非効率な設備投資やインフラ投資に加え、多くの企業が「脱実向虚」と呼ばれる財テクに走っていることを見逃せない。企業のバランスシートにおけるゆがみが、中国経済のハードランディングにつながりかねないからだ。「中国 経済成長の罠」(日本経済新聞出版社)の著者である関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞いた。

膨張する企業債務、実物投資より金融資産投資に

 ――中国では債務が膨張しています。

 「家計・企業・政府を合わせた総債務が急ピッチで拡大しており、2016年末には国際決済銀行(BIS)のデータで189兆5152億元(1元=16.17円)に上っています。名目GDP(国内総生産)の255%に当たります。08年時点ではまだ45兆5213億元にとどまっていました」

 「特に際立っているのが企業債務です。金融機関を除く企業部門でみた債務残高は08年時点で31兆1692億元だったのが、16年末には123兆5086億元と約4倍に膨らみました。対GDP比では98%から166%に上昇しました。日本の場合は1989年末で対GDP比が139%だから、中国の企業債務は日本のバブル期を上回る水準にあります」

 ――急拡大の原因は何でしょうか。

 「まず過剰な固定資産投資です。リーマン・ショックによるダメージを、中国政府は4兆元という巨額の景気対策で相殺しました。しかし、地方では『融資平台』(地方政府が傘下に置く投資会社)を通じて調達した資金の多くが、効率性や採算性の低いインフラ建設や不動産開発に投じられました。鉄鋼、セメント、太陽光パネルなどの製造業でも金融緩和を受けて借り入れと新規設備を増加させました」

 「より深刻なのが企業の財テクです。資金の多くが機械設備などの実物ではなく、リスクの高い金融資産に回る『脱実向虚』が進行しています。2000年代初めの企業による実物投資への投資額と金融資産への投資額は同じくらいであったが、リーマン・ショック後には金融資産投資が実物投資を大きく上回ります」

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